税金の直間比率 社会保険料を含めると、直接税比率が世界一高い

共産党やれいわ新撰組は、消費税廃止を叫んでいます。立憲民主党も、物価高騰を受けて、食料品の消費税ゼロなどを主張しているようです。
しかし、私は消費税については、日本の税金の直間比率の見直をすることなく、安易には意思を訴えるのは、よろしくないと考えています。

直間比率というのは、直接税と間接税の割合のことです。
直接税とは、税金を負担する人が直接払うもので、代表的なのが法人税や所得税、住民税などです。収入等に応じて負担するという特徴があります。
それに対して間接税とは、税金を負担する人と税金を払う人が異なるもので、代表的なのが消費税やガソリン税です。支出に応じて負担するという特徴があります。

物価高騰の対策として消費税を下げるというのは、直感的にはわかりやすいですが、安易に行うべきではないと思います。
なぜなら、物価高騰の原因は、世界的な資源高騰に加えて、円安などの問題があるからです。日本は資源を輸入に頼っていますから、円安はもろに物価高騰につながります。
消費税を下げたところで、本体価格が下がるわけではありませんから、消費税を下げた以上に本体価格が上がってしまえば、何の意味もありません。それどころか、円の信認が下がり、さらなる円安が進行してしまうリスクがあります。

しかし、それより大きな問題は、日本の直間比率が、世界的に見ても最も高いものだということです。
2021年の政府の調査では、世界的に直間比率が高いのは米国で、78:22です。税収の約8割が直接税です。日本は66:34で2位、イギリスは59:41、ドイツ・フランスが55:45です。
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/015.pdf

ところが、これを日本特有の社会保険料を加えると、直接税+社会保険料対間接税は83:17となり、ダントツの1位となります。
https://www.dlri.co.jp/report/ld/431496.html

さらに言えば、国民負担率、即ち国民所得のうち、租税負担+社会保障料が占める割合は、48%です。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=77683?site=nli
稼いだお金の半分近くが、税金や社会保険料として、国庫に納められるというわけです。これは、どう考えても国民の負担が高すぎます。

このような状態で、消費税を下げればどうなるかと言えば、収入を得る世代、つまり現役世代に負担が偏っていくのです。
日本共産党や、れいわ新撰組は、消費税を廃止しろと言っていますが、そうすると何が起きるかというと、お金を稼ぐ人だけが税金を払うということになります。簡単に言えば、税金は働いて稼いでる人から取れと、言っているわけです。やはりこれは、考え方としておかしいと思います。一生懸命働けば働くほど、それに対するペナルティのように税金をかけていく。お金を稼いでない人たちからは税金を取らず、社会サービスだけを受けることができる。

確かに、所得が多い人が税率が高くなるというのは、累進課税という考え方ですが、それはたくさん受け取ったひとは、それだけ払う余裕もあるでしょう、という考え方だと思います。しかし、これだけ膨れあがってしまった行政コストを、現役の働いている人だけに負わせるというのは、やはり私はおかしいと思っています。
受けるサービスに対して、公平に税を負担するという考え方がないと、働く人が勤労意欲を意欲を失ってしまうということになります。

例えば、海外から来た外国人が、所得がほとんどなくても、日本の素晴らしい社会サービスを受けられる、そのために、特に中国から大量の移住者が増えています。負担するのは、まじめに働く日本人です。そういうフリーライダーに対しても、一定の負担はして頂くというのが、間接税の一つの目的だと思います。

一所懸命働いて、給与明細を見たら、税金やら社会保険をばっと差し引かれて、手取りが少ない、そんな不満が、働く現役世代にはあります。
共産党やれいわ新撰組が言ってるような、単純な消費税廃止論に対しては、慎重な態度をとるべきだと思います。

動画
https://youtu.be/qj0sKW1oYC8