高市首相 飲食料品は2年間に限り消費税の対象としないは無理か?
高市首相は、選挙の公約として、食料品のみ2年間限定で消費税の対象としない、としています。
高市首相の掲げた公約は、前向きであり評価できると思いますが、この「食料品のみ2年間限定で消費税の対象としない」については、検討しなければならない点がいくつかあると思います。
第1は、国民民主党の玉木党首が指摘している、「消費税の対象としない」とは、0%課税なのか、非課税なのか、という点です。これについては、高市首相は0%課税ということのようですが、それならば「消費税の対象としない」という表現は、誤解を招きやすいと思います。
0%課税ということは、消費税はかけるけれども、0%なので実質的には課税しないという意味です。典型的なのは輸出品で、日本から輸出されるものは海外の消費者が消費するものなので、課税されないことになっています。仕入れ品に対しては消費税を支払いますが、これは控除ないしは還付の対象となります。これが、よくいわれる輸出消費税還付は補助金だ、などと言われる理由です。
非課税は、もともと消費税の対象ではないので、売り上げに対する課税もないし、仕入れに対する消費税は控除や還付の対象になりません。医療サービスなどがその典型ですが、仕入消費税はそのまま事業者のコストとなります。もし「消費税の対象としない」が非課税の意味であれば、飲食料の製造販売事業者は、損失をこうむります。
第2に、飲食サービスは従来どおり10%、飲食料品は0%になると、店内飲食とテイクアウトを両方提供している事業形態では、事業者の負担が大きくなる可能性があることです。典型的なのはマクドナルドで、オーダーの時にテイクアウトか店内利用かを聞かれますが、その時の税率は異なります。店内利用なら10%、テイクアウトなら8%ですが、消費者が支払う金額は同じですから、店内利用の税抜き金額は、テイクアウトの税抜き金額より低いのです。差分は事業者が負担しています。店内利用の方が店の経費負担が大きいのに実質売上金額が低いのは矛盾だと思いますが、2%の差なのでお店で負担しているのでしょう。しかし、これが10%の差になってしまうと、どうするのでしょうか。
第3に、飲食料店には、免税業者も多いはずです。
国税庁の調査では、国内にはもともと460万者の免税事業者がいて、100万者はインボイス登録をして課税事業者になりましたが、のこりは免税事業者のままです。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/tekikaku_seikyusyo/dai3/siryou.pdf
このような免税事業者は、売り上げ消費税分が、利益として取り込むことが許されています。いわゆる益税ですが、飲食料品の消費税が0%になれば、当然このような事業者の収益はその分悪くなります。
第4に、この施策は2年間限定とのことですが、そうすると2年後には食料品の消費税は復活することになります。果たして、国民感情として、そんなことが可能なのでしょうか。私には、これは不可能ではないかと思われます。結局、選挙のためだけの政策と言われても、仕方ないのではないでしょうか。
第5に、消費税は、公共サービスを受ける負担を、できるだけ公平にするための税制です。海外からきた外国人など、収入がないか、あっても本国に納税する人は、消費税がなければ、無料で公共サービスを受けることになります。その負担は、全て日本で稼ぐ人たちに寄せられることになります。特に食品は、必ず消費するものですから、ここできちんと税負担をしてもらわなければ、公共サービスのフリーライダーが増えることになります。
公共サービスを受けるために、働く人ばかりが負担するのはよくないと思っています。日本で生活する人は、必ず公共サービスを受けているのですから、所得税を払わない人でも応分の負担が必要です。そのためには、消費税は必要なものだと思っています。
安易な消費税減税は注意すべきで、特に制度がもともと複雑な食料品の減税は、注意する必要があると思います。
動画はこちら
https://youtu.be/_TTi8-7UHJk

