「日本人ファースト」だけでは日本は生き残れない

先日の参議院議員選挙では、参政党が「日本人ファースト」をキャッチフレーズにして大きく議席を伸ばしました。
神谷党首の言葉は非常にわかりやすく、左傾化した自民党から離れた保守層、特に若い人々の心をとらえたと思います。
しかし、日本人ファーストだけでは、日本が生き残ることは困難です。日本が自分たちの経営資源だけで自立できるならよいですが、残念ながらそうなってはいません。

一つは、輸出に依存する経済構造です。日本は鉄鉱石や原油などの資源がありませんから、海外から輸入せざるを得ません。そのためには外貨を稼がざるを得ず、そのためには輸出を拡大する他ありません。
参政党は、消費税は輸出補助金だといって、輸出が悪者であるかのような言い方をしています。しかし、消費税は輸出補助金などではありません。輸出売上消費税がゼロだから、輸出仕入消費税分を控除できない分は還付しようと言っているだけであって、補助金といういい方は不適切です。これについては、別論で申し上げます。
しかし、内需が伸び悩む中、中小企業が売り上げ拡大し、業績を伸ばすためには、輸出を行うことが、一つの手段です。これについては、内閣府も方針を掲げています。
輸出企業の状況
zai3/2022/0203nk/n22_3_3.html

しかし、中小企業にとって輸出はハードルが高く、日本の輸出企業の3割は大企業だし、輸出売上の半分は大企業です。
中小企業がなぜ輸出を手掛けないかというと、輸出実務ができる人材がいない、海外マーケットが把握できないなど、様々な理由があります。
中小企業支援機関である中小機構でも、アンケートでこれを調査しています。
中小企業海外展開の課題
https://www.smrj.go.jp/research_case/questionnaire/fbrion0000002pjw-att/kaigaitenkai_202403_2_report_C1.pdf

日本の経済構造を下支えしているは、中小企業です。この中小企業が輸出を伸ばすことができるようにする必要があります。
「日本人ファースト」が、日本が輸出せずに経済を回せるという意味で言っているのであれば、これは間違っていると思います。

もう一つは、外国人労働者の問題です。
私は中小企業診断士として、千葉県の様々な中小企業の相談を受けますが、経営者が一様におっしゃっているのは、働き手がいない、ということです。
特に、建設業や介護の現場は深刻です。売り上げを伸ばそうにも、職人がいないから、受注することができません。その職人も高齢化し、どんどん退職していき、若い職人が入ってきません。少子高齢化が進み、きつい現場をやろうという若者も減っているのです。
これを下支えしているのが、外国人労働者です。2008年には50万人ほどであった在留資格を持った労働者数は、2023年には205万人となっています。約4倍です。
外国人労働者数の推移
https://www.glory-of-bridge.com/post/number-of-foreignworkers

これらの外国人労働者がいなければ、中小企業の経営は成り立ちません。特に地方では、外国人労働者がいなければ、潰れる会社がたくさんでてくるでしょう。深刻な問題なのです。
現在、外国人問題として、例えば川口市のクルド人問題が取り上げられています。これらの外国人は、不法滞在者が多いのです。難民申請をして、期限切れとなり、オーバーステイ、すなわち不法滞在者となっているわけです。外国人問題は、まずは不法滞在者問題を解決するのが先決であって、「日本人ファースト」が、正規の手続きで在留資格を得た外国人労働者を排斥しようとするのであれば、それは過ちです。

「日本人ファースト」は、日本人の誇りを取り戻すと言う意味で、よいと思います。
私は日本の家庭を守るという立場から、妻が子どもを産み、夫婦で育てるという、家族を尊重する神谷党首の考え方には賛成です。
しかし、同時に日本は国際社会の中で、孤立主義では生きて行けないのであって、客観的に日本がおかれた状況を把握・分析して、適切な施策を行う必要があると思います。

動画はこちら
https://youtu.be/9HPmoTfvAPg