宗教法人審議会の議事録 何がなんでも非公開

宗教法人審議会の議事録は、現在非公開となっていますが、開示請求を行った結果、最終結果が出ましたので、ご報告します。

  1. 宗教法人審議会の位置付け
    宗教法人審議会は、文部科学大臣の諮問機関として文部科学省に設置されています。
    宗教法人法第71条第1~3項に基づき、同法および特例法によりその権限に属せられた事項について処理し、その範囲に限って意見を述べることができる機関です。
    宗教法人審議会の権限は、宗教法人法および特定不法行為等被害者特例法に規定された事項に限定されており、宗教法人の解散命令請求に関する事項は権限に含まれていません。
    具体的には、宗教法人法第14条第3項(規則認証不認可の決定時)、同法第77条(審議会の議事手続等)、第78条の2(質問権)、第80条の2(審査請求)などが審議会の所掌事項とされているほか、特定不法行為等被害者特例法第15条に基づく事項も含まれています。

2 議事録開示請求と不開示決定
家庭連合(旧統一教会)に対する質問権の行使、過料通知、解散命令請求に関連する宗教法人審議会の議事録は、現状公開されていません。
これに対して私は文化庁に対し開示請求を行ないましたが、すべての文書について不開示決定がなされました。
不開示決定に対して審査請求を行ったものの、文化庁はこれを却下し、その後、2024年4月1日に情報公開・個人情報保護審査会(以下「情報公開審査会」)に諮問がなされました。
同審査会は2026年3月18日に答申を行い、不開示処分が妥当であると判断したことで、当該議事録は事実上不開示が確定しました。

答申書は、以下のURLから閲覧することができます。
https://www.soumu.go.jp/main_content/001061404.pdf

3. 審査請求人の主張と文部科学省側の説明

(1) 申合せ変更議事録の非公開問題(主張①)
審査請求人(つまり、私)は、宗教法人審議会の申合せにより議事録が非公開とされている点について、非公開を可能とする申合せ自体を変更した際の議事録まで非公開とされるのは不当であると主張しました。
これに対し文部科学省は、申合せ変更を含め議事録全般が行政機関情報公開法第5条2号イ、5号、6号柱書に該当するため不開示とするとの説明を行いました。(法人や個人の権利侵害、委員の自由な議論の妨げ、行政事務の適正な遂行への支障)。
この点について私は、内規の変更自体が家庭連合の解散を前提としたものであることを、文部科学省自らが事実上認めていると受け止めています。さらに、他の宗教団体への影響が十分に考慮されていないことが露呈したと言えます。

(2) 匿名化・抽象化による開示の可能性(主張②)
わたしは、議事録に具体的事案が記載されており法人の自立性・活動を妨げるおそれがあるというのであれば、匿名化・抽象化等の工夫により開示すべきだと主張しました。
また、質問権行使や解散命令の手続により、家庭連合側は既に社会的な誹謗中傷を受けているのであり、その意味では不開示の理由付けは説得力を欠くと指摘しました。
これに対し文部科学省は、匿名化・抽象化の趣旨が理解できないと述べるとともに、家庭連合が誹謗中傷されているのであれば、それは同団体が多数の民事事件を惹起していることに原因があるのではないかと反論しました。
この回答に対し私は、質問権や解散命令請求に伴って発生する社会的評価の悪化を行政の責任ではなく家庭連合側に転嫁するものであり、実質的な反論になっていないと指摘します。

(3) 意思決定の中立性と公開の関係(主張③)
私は、議事録を公開すると委員の率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるとする行政側の主張に対し、むしろ公開して国民の監視に服することで意思決定の中立性が担保されるべきだと主張しました。
これに対し文部科学省は、「国の機関であるから審議内容を公開すべきだ」という主張には理由がないと回答しています。
この点について私は、宗教法人審議会の委員は本来、公開を前提とした責任ある発言を行うべきであり、公開されると困るような議論を行っているのではないかとの疑問を呈しています。

(4) 質問権行使の審査基準の問題
私は、さらに、文部科学省が議事録には質問権行使に関する着眼点等を推知させる情報が含まれていると主張するのであれば、質問権は公権力の行使として行政処分に該当する以上、審査基準を明確に定め、公にする必要があると指摘しました。
これに対して文部科学省は、議事録は審査基準とは性質を異にしており、公開の必要はないと応答したが、その「性質の違い」の具体的内容は答申書中に明示されていません。

4 情報公開審査会答申の内容
以上、私と文化庁の主張に対し、情報公開審査会は、文化庁が不開示としている文書について、基本的に不開示とする判断を維持しました。
ただし、一部については新たに開示すべき情報があるとして、以下の項目に限って公開するよう示した。
・文書の上部中央に記載された文書名
・すべての記載項目名
・記載項目「〇日時」および「〇場所」に係る記載のすべて
・記載項目「〇出席者」の行の記載、その内訳項目名「【委員】」「【事務局】」および「【事務局】」に属する出席者名
・文書1のうち第186回議事要旨の一部(「〇概要」と同一行の右側の記載、およびその1行下の(3)から始まる行の記載)

しかし、これらを除く内容については、議事要旨を含め全面的に非開示とされたため、実質的には委員の具体的な発言や議論の中身は明らかにされませんでした。
情報公開審査会は判断理由として、不開示維持部分は行政機関情報公開法第5条5号(委員の自由な議論を妨げるおそれ)に該当すると認められるとし、同条2号イおよび6号柱書に該当するかどうかを判断するまでもなく不開示とすることが妥当であるとしました。

私は、この答申が、内規により一定期間非公開とされた議事録がその後公開されることをも防ぐべく、あえて第5条5号のみを根拠として非開示を正当化したものだと思います。日本の宗教行政において開かれた議論を期待することはもはや困難です。

5 浜田聡参議院議員による国会質疑
2024年3月12日、参議院総務委員会において浜田聡参議院議員は、家庭連合をめぐる解散命令請求と宗教法人審議会議事録の非公開問題について質問を行いました。
浜田議員は、宗教団体への解散命令は信教の自由に関わる極めて重要な問題であり、本来議事録は公開されるべきであると述べるとともに、既に解散命令が請求された以上、非公開とする意味は失われたのではないかと指摘しました。
これに対し文部科学省の小林万里子氏は、宗教法人審議会の議事録について、同審議会の「議事等についての申合せ」により、会長が必要と認め審議会に諮った場合、必要な期間、議事要旨の一部または全部を公開しないことができるとされていると説明しました。
家庭連合に関しては、「解散命令請求が行われた場合は裁判所の判断が確定するまでの期間、または旧統一教会から文部科学省等に対する訴えが提起された場合はその裁判が最終的に確定するまでの期間」について、議事要旨を公開しないことが全会一致で決定されていると答弁しています。
浜田議員は、この答弁からすると非公開期間は限定されているとの認識を示しつつも、隠せば隠すほど議事内容に対する関心は高まり、信教の自由を軽視した議論がなされている可能性も指摘されると述べました。その上で、最終的には議事録を公開すべきであるとの考えを改めて表明しています。

資料はこちら
https://www.ogasawara-church.jp/wp-content/uploads/2026/03/30d68403d9d7442907b64d28d1e011cb.pdf