許可抗告申立理由書
世界平和統一家庭連合が文部科学大臣による解散命令申立てにつき、東京高裁に対して抗告許可申立書を提出しましたので、その内容についてご説明します。
第1に、家庭連合は、原決定がコンプライアンス宣言(2009年)後の不法行為を認定した方法は「裁判の基本構造」および証拠裁判主義・自由心証主義に反し、事実認定として成り立たないと主張しています。
裁判の基本構造として、①事実の特定、②証拠による立証、③証拠に基づく事実認定、④規範的評価(不法行為の成否など)、⑤法律上の効果、という段階を必ず踏むべきところ、原決定は①~③を飛ばして④の評価に飛躍しているのです。
第2に、一審東京地裁決定について、同決定はコンプライアンス宣言後に不法行為を認めた確定判決は2件3名・損害額も限定的であり、かつ古い事案しかないにもかかわらず、訴訟上の和解や訴外示談(合計911名)をまとめて「本件問題状況」として抽象的に把握し、個々の具体的行為事実を特定しないまま「推測」により不法行為を大量に認定しました。
不法行為は規範的概念であり、「いつ・誰が・誰に・何をして・どのような被害を生じさせたか」という具体的行為事実の特定と証明を経なければ認定できないにもかかわらず、これを欠いている点を違法としているのです。
第3に、原決定(高裁決定)の違法として、原審が独自に「不相当献金等勧誘行為」「不相当伝道教化勧誘等行為」という類型的概念を創作し、それらを合わせた「不相当献金等勧誘行為等」を用いて事案を整理した点を問題視しています。
これらは「侵入盗」「万引き」などに類する規範的類型にすぎず、本来はそれぞれについて具体的行為事実が特定されなければならないのに、原決定は抽象的な類型レベルで「不相当献金等勧誘行為等が行われた可能性が否定できない」などと述べるにとどまり、事実認定になっていないのです。
原決定は、コンプライアンス宣言後について、①確定判決2件3名(損害計約1688万円)、②1件の和解で不法行為を認定(損害180万円)、③「可能性が相応に認められる」和解・示談数件(総額数千万円)、④さらに「可能性が否定できない」事案138件(約9億円)という重層的な整理を行っています。
しかし家庭連合は、特に④の138件について、「可能性が否定できない」という表現自体認定とはいえず、別紙示談一覧表も「害悪の告知」「未証し」などの欄に○を付しただけで日時・場面・言動内容が特定されておらず、これを基に損害額合計8億7309万余円を「損害として認められる可能性が否定できない金額」とするのは印象操作にすぎないと主張しています。
さらに、原決定は「平成22年以降に不相当献金等勧誘行為等が行われ、使用者責任が成立する可能性が否定できない事案がある」という記述から出発しつつ、第4部の検討において、「コンプライアンス宣言後も本件銃撃事件に至るまで不法行為に該当する不相当献金勧誘行為が継続して行われた」と突然断定的に認定していると批判される。 家庭連合によれば、この「コンプラ宣言後不相当献金勧誘行為継続事実」は、具体的行為事実の特定も証拠に基づく認定もない単なる規範的評価であり、「事実認定を装った誤魔化し」であって、自由心証主義・証拠裁判主義に反する違法な認定です。
第4に、この「誤魔化し認定」の真の目的として、原決定が解散命令の要件である「法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」(宗教法人法81条1項1号)該当性を基礎づけるために、解散申立時から7年以上前の古い事案だけでは足りないことを自覚し、コンプライアンス宣言後・銃撃事件までの間の不法行為の「継続」を強調する必要があったのだと指摘しています。 しかし、その部分は具体的行為事実に乏しく、「可能性が否定できない」程度の示談事案に依拠しており、これをもって「著しく公共の福祉を害する行為」と評価することは不可能だとしています。
第5に、宗教法人法81条1項1号の「行為」の解釈について、原決定が「コンプラ宣言後不相当献金勧誘行為継続事実」を同号の「法令に違反する行為」に含めた点を法解釈上の誤りと批判しています。
家庭連合は、最高裁令和7年3月3日決定(過料事件)を引用しつつ、民法709条の不法行為を構成する「行為」とは不法行為法上違法と評価される具体的行為であり、抽象的・規範的な「不法行為が継続していた」といった評価そのものが同条の「行為」になるわけではないと論じます。 この観点から、原決定が具体的事実の特定を欠いたまま「行為」性を認めたことは、条文上の「行為」概念を誤解したものと主張しています。
以上を前提に、家庭連合は、原決定は裁判の基本構造に反する事実認定、証拠裁判主義・自由心証主義の逸脱、宗教法人法81条1項1号の「行為」の解釈の誤りという重大な違法を含み、決定の結論に重大な影響を及ぼすものであるから、抗告を許可すべきであると結論づけているのです。
動画はこちら
https://youtu.be/taeuARcE1Ug

