公共施設使用不許可の背景に全国弁連

先日、福岡市の家庭連合に対する公共施設利用不許可(利用の留保)について、ブログを書きました。
https://www.ogasawara-church.jp/blog/20240323/3228/

再掲しますが、公共施設の利用に対しては、1997年3月7日の泉佐野市民会館事件において、下記の通り明確な基準が示されています。
「人の生命、身体又は財産が侵害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり、その危険性の程度としては、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要である。」

家庭連合が公共施設を借りる際に、「明らかな差し迫った危険の発生」を具体的に予見することはできません。
だから、地方公共団体が、家庭連合に対して公共施設の利用の不許可(利用の留保)をすることは、できないはずです。

しかしそこには、全国弁連の暗躍があるのです。
全国弁連は、2023年6月に、全国各地方自治体に対して、家庭連合及び関連団体に施設を使わせないように、声明を送付しています。
https://www.stopreikan.com/seimei_iken/2023.06.15_seimei.htm

そこには丁寧にも、上記の1997年3月7日の泉佐野市民会館事件にも触れており、このケースで使用不許可になったことが書かれています。
しかし、理由として、このように説明しています。
「地方自治体は、その施設をその利用させることによって、他の基本的人権が侵害され、公共の福祉が損なわれる危険がある場合には、施設の利用を拒否できるものと解される」

この説明は間違っています。 
「公共の福祉が損なわれる危険」では足りません。
この判例では、こう説明しているからです。
「集会の自由の制約は、基本的人権のうち精神的自由を制約するものであるから、経済的自由の制約における以上に厳格な基準の下にされなければならない」
そしてこの厳格な基準として判例が示しているのが、下記の要件なのです。
「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されること」

この声明文は、全国弁連の欺瞞です。
これを読んだら、地方自治体が家庭連合に対して公共施設の利用を不使用としても、問題ないと勘違いしても無理はありません。
法律の専門家が、判例の趣旨を捻じ曲げてまで自らの目的を果たそうというのは、法の正義に反することだと、私は思います。