大衆明治史(下)

菊池寛による、明治史解説の下巻です。上巻を読んでからなかなか入手できませんでしたが、やっと読むことができました。

上巻のメインは日清戦争(1894 - 1895)でした。(下記)

大衆明治史

民主主義は、西洋から輸入した思想ですが、西洋においては、市民は革命により、民主主義を手に入れました。 しかし日本の民主主義は、西洋とは異なり、国の親の立場の天皇…

下巻はその10年後の、日露戦争(1904 - 1905)が主なテーマです。
ロシアの中国大陸、朝鮮半島への進出意欲は非常に高く、それに対して日本が国運をかけて戦ったことが、よくわかります。

明治時代、日本は欧米列強に負けまいと、国力を上げて闘いました。まさに揚げ潮の勢いであったと思います。そして、アジアの盟主としての地位を、確たるものとしました。その時のリーダーの、我が国を愛し、国家100年の計を論じた広義の精神は、忘れてはならないと思います。

そして、日露戦争の40年後、日本は連合軍に対して無条件降伏し、中国大陸、朝鮮半島の全ての権利を失いました。これも、日本が経験したことです。

しかし日本人は、自信を失ってはいませんでした。戦後の焼け野原から、驚異的な経済復興を遂げて、世界のGDP第2位まで地位を上げました。戦後の日本を復興させたいというリーダーと、国民の力がなければ、これは成し遂げられなかったと思います。

日本が自国の利益のみに走ったら、このような発展はあり得ません。日本一国で自立することなどできないから、常に国際的な視座を持ちながら、国家経営をするべきです。明治時代のリーダーには、そういう視点がありました。今のリーダーにも、必要なことだと思います。