大衆明治史

菊池寛が、1943年に書いた、明治の歴史です。

大政奉還後、藩籍奉還、散髪脱刀など、武家による封建社会から中央集権制に移行する様子を、書いています。西郷隆盛や大久保利通、伊藤博文、大隈重信など、当時のリーダーが日本という国を一流国にするために、それぞれの考えで命をかけて国を変えてきました。この本は、具体的な事実上の登場人物を通してそれが描かれていて、非常に興味深いです。

民主主義は、西洋から輸入した思想ですが、西洋においては、市民は革命によって民主主義を手に入れました。その一方で、国王であるフランスのルイ16世は、ギロチンの露と消えてしまいました。

日本では、西洋での民主主義の発展とは異なるプロセスを辿りました。日本が、明治維新をほぼ無血で成し遂げ、太平洋戦争も大きな混乱なく終戦を迎えることができたのは、奇跡ではないかと思います。そこには、国の親の立場の天皇がおられることが、大きく貢献しています。家庭に親がいて、会社に親の立場で社長がいて、国に親の立場で天皇がおられるというのは、日本の大きな力だと思います。西洋のような、力と力の対立構造の中で、社会が発展してきたという歴史とは、異なるのです。

本の帯封に、GHQの発行禁止の対象となったと書いてありますが、残念ながら下巻がなかなか手に入りません。インターネットでは、何倍も高い値がついていました。機会があれば、続きを読んでみたいです。