日本国史(上)
東北大学名誉教授 田中英道氏の著書です。
日本には1万4千年も戦争もなく平和な時代を築いた縄文時代があり、その時代に日本書紀に書かれている「日高見国」という国家があったと言います。これは世界最古の国であり、世界中に影響を及ぼしていると主張します。
田中氏は、古事記や日本書紀の建国の記述は、単なる神話ではなく、歴史的な根拠があると言います。そしてそこに記録される「高天原神話」は、この「日高見国」を指していると言います。天皇家と関係する神社は3つしかなく、それが伊勢の大神宮(伊勢市)、鹿島神宮(鹿嶋市)、香取神社(香取市)です。3つのうち2つが関東地方にあるのは、人々が日の上る方向、すなわち東に向かって進んだ結果であると考察しています。日本という国名も、人々が東に進んだ証拠だというわけです。
そうすると、古事記の日高見国とは、関東のことでは無いかということになります。中国の魏志倭人伝に、邪馬台国の卑弥呼が九州地方に興ったと書いてありますが、真実性に乏しいというのです。
私は、現代語訳ですが、古事記と日本書紀を読みました。前半はほとんど神話ですが、後半は各天皇ごとに章立てされた、日本の歴史書です。神話時代が具体的な歴史につながるとすれば、とても興味深い話です。
中国や欧州では、政権が変わると国が断絶しますが、日本は天皇家を中心として国としては継続しています。世界最古の国というのは、おもしろい観点だと思います。