多数決の原則と少数派の権利

民主主義の原則について、米国務省の文書に、次のように書かれています。

一見すると、多数決の原理と、個人および少数派の権利の擁護とは、矛盾するように思えるかもしれない。しかし実際には、この二つの原則は、われわれの言う民主主義政府の基盤そのものを支える一対の柱なのである。
https://americancenterjapan.com/aboutusa/translations/3080/#jplist

少数の意見を無視した民主主義は、全体主義を招きます。ウクライナを侵攻したロシアのプーチン大統領は、ロシア国民から熱烈な支持を受けています。ウイグル族への弾圧を続ける中国の習近平も同様です。ナチスドイツのヒトラーも、熱狂的な国民の支持を背景にして、ユダヤ人に対する大虐殺を行ったのです。

全体主義を防ぐための、民主主義の原則の大きな柱が、少数意見の尊重です。少数意見の方が正しいかもしれない、そういう謙虚な態度で、異なる意見を取り上げて比較参照することにより、人間はより正しい選択ができるのです。

私が、現在家庭連合に対する解散命令請求に対して反対する最大の理由が、この点です。解散される側の家庭連合や信者の意見は全く考慮されておらず、少数意見は完全に無視されているからです。

文部科学省が行使した質問権は、解散命令請求を前提とするものですから、解散命令の根拠を探すのが目的です。家庭連合は、解散するための要件は不十分であるという意見書・申入書を提出しましたが、それに対する回答はありません。解散命令請求をしないように求める信者の嘆願書も担当窓口での受け取りを拒否され、郵送を指示されました。

国家が、このような手法で、特定の宗教団体を解散するという前例を作ることは、日本の民主主義が全体主義に陥る危険性を帯びており、もはや家庭連合に限った問題ではないのです。