カルトという蔑称と反カルトに内在するカルト性

家庭連合を批判する諸団体は、家庭連合のことを「カルト」と言って批判します。
ところが、この「カルト」という単語には、きちんとした定義がありません。
使う人が批判的な意味を込めて、攻撃対象とする特定の団体に対して「カルト」と言ってます。
つまり、「カルト」とは、相手を蔑視し、差別する際に使用する言葉なのです。

そして、相手を「カルト」と言って反対する人々は、独善的で攻撃的である点、自らが「カルト」性を帯びるという、自己撞着に陥っています。これを、「反カルトのカルト性」と言います。

このような論点を、学術的に論述した文書が、国内の様々な論文を収蔵する、「国立研究開発法人科学技術振興機構」が運営するJ-STAGEに登録されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jinbunxshakai/2/8/2_71/_pdf/-char/ja
著者は、大喜多紀明氏で、アイヌ民俗などに関する論文を多数発表している学者です。
昨年以来の、家庭連合批判を、社会科学的に分析している点、示唆に富んだ内容だと思います。

いくつか、示唆に富む文章がありますので、長文ですが、以下に抜粋します。

「そもそもカルト言説は定義そのものが明確ではない。さらに、カルト集団を宗教とみなすべきではないという言説については、そもそも宗教とはなにか、という未だ定まらない前提が立ちはだかる高い壁となっている。つまり、カルト排除の理論は、極めて曖昧な定義と前提の上に構成されており、危うさが内在しているのである。仮に、こうした状況でカルト排除という行為を断行したとすれば、間違いなく他の社会問題が勃発することになろう。」(P85)

「マスメディアにより拡散された第三の用法(カルト=反社会的団体)は、現在では最も一般的な用法である。本稿では、批判的な文脈により使用される用語としてのカルトに注目するのであるが、これは櫻井の第三の用法に該当する。当該用法は、あくまでも批判する立場により使用され、価値中立的なものではない。むしろ当該宗教団体に対する侮蔑的な意味を含む用法であり、学術的用語としての使用に疑問を呈する研究者もいる」(P87)

「カルトとは、あくまでもカルト視される宗教団体を批判するための用語であり、該当する宗教団体への「総称的蔑称」である。」(P95)

「社会通念から逸脱した行為が、反カルト側によってカルトに対しておこなわれた事例が出現した。例えば、家族およびカウンセラーと称する人物による、当該宗教団体の信者に対する拘束等をともなう棄教強要が実施された。これは違法行為の可能性が極めて大きい。つまり、カルト視する側の行為がむしろ非難されるという状況が生じたのである。さらに、反カルト団体(カルト視する側の団体)がむしろカルト化する、という逆転現象ともいえる現象さえも指摘された」(P100)

このような、差別的で問題のある言葉を、マスコミや行政は、使うべきではありません。