被害者救済法について

家庭連合に関連して、被害者救済法案が、2022年12月10日に成立しました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221210/k10013919351000.html

法律の正式な名前は、「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」と言います。(以下、この法律といいます)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=504AC0000000105_20230105_000000000000000

この法律の条文をよく読むと、家庭連合の信者から見て、いろいろな点で実情と異なっていて、「旧統一教会問題に関連した被害者救済法案」というのは、不自然なように思われます。

この法律の構成は、①法人等に寄附の意思表示をした者が、「寄附の勧誘に関する禁止行為」を受けた場合、取消権を行使することができ(第8条)、②寄附を行なった個人の扶養義務に係る定期債権の債権者は、一定の要件を満たせば、本人の取消権につき、債権者代位権を行使できる(第10条)、というものです。
民法で定められた、本人の取消権と、債権者の債権者代位権についての、特例を定めたというのが、この法律の骨子です。

そうすると、「寄附の勧誘に関する禁止行為」とは何かが問題となりますが、これを定めたのが第4条で、簡単書くと次の通りです。「⇒」以下は、私の意見です。

第1項 寄付を勧誘する者が家に来て勧誘する時、勧誘される者から帰ってくれと言われたら、帰らないといけない。
⇒これは当たり前です。

第2項 寄付を勧誘される者が、寄付を勧誘する者の建物から、帰ると言ったら、帰らせないといけない。
⇒これも、当たり前です。

第5項 寄付を勧誘される者が、寄付を勧誘する者に対して恋愛感情などを持った時、それに乗じて勧誘してはいけない。
⇒こんなハニートラップのようなことは、性的な純潔を最重要視する家庭連合では、ありえません。

第6項 寄付される者は、霊感を理由として、寄付する者を脅かして、寄付させてはならない。
⇒消費者契約法における霊感商法対策のような条項ですが、家庭連合で、信者を脅かすような行為は行なっていません。

なお、第3項と第4項は、理由はわかりませんが、欠番になっています。

もし「寄附の勧誘に関する禁止行為」が家庭連合において行われているのが事実なら、家庭連合は現在行われている教会改革を進めるうえで、改善すべきです。この法律は、正式な手続きにより立案されたものであり、家庭連合及び信者は、法令遵守の精神により、この法律に従うべきことは、言うまでもありません。

しかし、私自身は、家庭連合から、信者として、献金するに際して、このような「寄付の勧誘に関する禁止行為」を受けたことがないし、他の信者も同様なのではないかと思います。
そうすると、この法律は、実際の被害者を救済するという点では適用範囲が極めて限定的であり、むしろ家庭連合のイメージを悪くする効果しかないのではないでしょうか。

さらに言えば、この法律の適用対象は、家庭連合に限定されていませんから、すべての団体に適用されるものです。宗教法人、社会福祉法人、学校法人、医療法人、政治団体など、寄付で運営されている団体に対する寄付行為全てに及びますから、財産権の自由など、基本的人権を侵害する恐れがあるのです。
第12条で、運用上の配慮として、学問の自由、信教の自由、政治活動の自由に十分配慮すべきと書かれていますから、立法者は、この法律の危険性に気づいてはいるのでしょうが、具体性はありません。

このような、基本的人権に関わる法律を、拙速に立案、施行するのは、あまりに危険ではないでしょうか。