塩狩峠

高校生の時、「新潮文庫の100冊」で読んだことがあります。40年も経って読み返してみました。

主人公は、旭川の鉄道員として働く一方でキリスト教の信仰を得ました。

長年約束していた女性と結納を交わすその日に、旭川から札幌に行く鉄道の客車の連結が外れて、塩狩峠を暴走するのを、自らの体の犠牲を以て客車を止めて、乗客を止めたということです。

これは実話に基づく小説で、危機が迫る中で、咄嗟に自分の体を投げ出して人を救うことなどできふものだろうかと、高校生の時は思いました。

今読んでみると、作者が書きたかったのは、最後のエピソードもさることながら、ひとりの人間が悩みながら救いを求めるという、その過程なのだろうと思います。

人間とは弱いものだから、限界の状態で、どういう行動をするのか、自分には自信がありません。それでも、前を向いて生きていきたいものだと、思いました。