ワイルドスワン(上)

1991年に書かれた本で、第二次世界大戦前、中国東北部に満州国が建国され、戦後国民党が政権を握り、毛沢東が率いる共産党が中華人民共和国を建国し、共産党一党独裁政治を行った時代を、著者の祖母、母、そして著者自身の経験として書いた作品です。脚色はされているのでしょうが、中国国民が、どんな困難な時代を過ごしてきたか、淡々と描いています。

上巻は、文化大革命が始まる前夜の、1965年で終わっています。中国という国は、皇帝を戴いて人民が個人の考えを封印して従うという形の統治が、全く変わらず引き継がれているという著者のコメントには、強い印象を持ちました。

この統治手法は、現在の中国の姿そのものだと思います。

下巻では文化大革命が描かれるようです。引き続き、読んでみたいと思います。