イスラームの歴史

著者は、カレン・アームストロングという米国人です。2001年の同時多発テロ以降、米国ではイスラム教と、それを信仰するムスリム(イスラム教徒)に対して、暴力主義とか偏狭的だとかの偏見が強くなりましたが、イスラム教の創始者ムハンマド(マホメット)の時代に遡り、イスラームをできるだけ正確に理解しようとする著述です。

イスラム教が、暴力を肯定する宗教家というと、そういうことは全くなく、クルアーン(コーラン)は平和主義を唱える教えだと言います。他国を侵略することも、人を傷つけることも禁止しており、ただ神のみを信じるように教える点では、ユダヤ教、キリスト教と同じ唯神今日であり、兄弟のようなものです。

イスラームの歴史をたどると、イスラームが発展したアラブは、中世までは世界の中心だったようです。西欧ではキリスト教が発展しましたが、気候も厳しく産業もないため、交易や文化は中東を中心に発展したというわけです。

しかし近世になってルネッサンス、それに続いた産業革命などのイノベーションにより、西欧諸国が急激に発展し、それについていけなかったイスラームは、勢力を失っていきました。そして第二次世界大戦後、聖地エルサレムからパレスチナが追い出され、一部強硬派が結集してイスラム原理主義を唱えて、暴力主義に走ったと言います。つまり、イスラム教徒は平和主義であって、決して破壊主義や暴力主義ではないということです。

私は4年間マレーシアで子会社の社長をやったことがあって、部下の半分くらいがイスラム教徒でしたが、非常に穏やかで、素晴らしい人たちだと思いました。アルコールや豚は一切食べないなど、厳格な規律を守っていますが、人を攻撃することは決してありませんでした。

世界中のムスリムは14億人、5人に一人はムスリムです。正しく理解をすることが大切だと思いました。