信教の自由レポート

米国務省は5月15日、世界の「信教の自由」に関する2022年版の報告書(以下、レポートと言います)を発表しました。
ラシャド・フセイン信教自由担当特任大使は記者会見で、中国について「多くがイスラム教徒であるウイグル族を捕らえ、投獄し、再教育施設に送り込んだ。チベット仏教徒、キリスト教徒、法輪功学習者への弾圧も続けている」と非難した。日本では安倍晋三元首相が昨年7月に暗殺された後、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が「メディアの強い関心を集めた」としました。
https://www.worldtimes.co.jp/uncategorized/20230517-171356

日本のマスメディアも、このレポートについて報道していますが、中国の新疆ウイグルについて書いてあるだけで、日本の家庭連合に関する記述に触れているのは、世界日報他ほんの一部です。

しかし、レポート(日本に関する報告)の原文 (2022 Report on International Religious Freedom: Japan)を調べると、家庭連合(原文ではUnification Churchと略されているので、以下、統一教会と書きます)について、全体の1/3のスペースを割いて、実に詳細に記載しています。
全体として客観的に記載されていますが、信教の自由レポートにこれだけの紙幅を費やしていること自体、米国が日本の統一教会の状況について、信教の自由の侵害に対する懸念を持っていることを示しているのではないかと、私は思います。
https://www.state.gov/reports/2022-report-on-international-religious-freedom/japan

統一教会に関する記述の簡単な訳文を下記します。(翻訳:小笠原)

・統一教会に対して敵意を抱く者による安倍元首相の暗殺により、統一教会はメディアによる強い注目を浴びた。
・TBSは元信者からの統一教会の内部資料により、統一教会は2009年から2011年の間、毎年600億円の献金を集めたと報道した。
・安倍元首相暗殺の犯人は、母親が入信して献金により破産したので、教会と関係が深い安倍を殺したと述べた。
・マスコミの調査によると、国会議員712人のうち100名以上が統一教会系のイベントに参加したり選挙応援を受けた。
・岸田首相はイベントに参加したことを表明していなかった山際経済復興大臣を罷免した。
・岸田首相は史上はじめて宗教法人法に基づく調査権を行使した。
・岸田首相は、統一教会相談ホットラインを設けたところ、1700人の相談があったと言った。
・統一教会は不正行為を否定している。
・国連NGOである良心の自由協会(CAP-Freedom of Conscience)は、統一教会は不寛容・差別・迫害キャンペーンの犠牲者であるとの声明を、国連人権委員会に提出した。
・教会はメディアのネガティブキャンペーンにより、信者は攻撃や死の恐怖により苦しんでいると述べた。
・不当な献金等を防止する法律が制定された。統一教会はこれに対して信教の自由を侵害するものであり直ちに撤回されるべきといっている。
・一部の議員・宗教関係者・弁護士は、統一教会の問題は信教の自由ではなく、家計破産などの危害に対するものであると言っている。
・統一教会とエホバの証人の一部の子供たちは、宗教行事に無理に参加させられており、警察はこの問題を長く放置してきたと言っている。教会は、会員が行ったことに対して元会員が教会を批判することで、他の現会員が心理的な被害を受けていると言っている。
・岸田首相は、宗教団体による政治活動は政教分離に反しないと言っていて、与党である公明党もそのように述べている
・厚生労働省は、宗教教義が身体的、心理的な児童虐待にならないようガイドラインを作った
・安倍首相暗殺以降、統一教会は、教会本部や全国の教会で、殺害予告、国外追放の要求、電話での嫌がらせや破壊行為などの被害を受けていると言っている。
・統一教会は、数多くの信者が家族により心理的、身体的な圧力により棄教を迫られていると言っている。
・統一教会の信者が公共施設やボランティアの参加を拒否されていると言っている。
・米国大使館は、統一教会をめぐる問題を注視し、国会議員、政府当局、教会の活動による被害を訴える人、教会の代表者と連絡を取り合い、全ての場合において、信教の自由の重要性を強調する。

IRFR Report Cover - 1