オカマの日本史

著者の山口志穂さんは、性同一性障害で苦しみ、そのことを誰にも言えなかったという経験をお持ちです。体は男なのに、心は女ということです。
そして、日本の歴史において、男性同士が愛し合う、いわゆる男色が、いかに浸透していたかに興味を持ち、文献を調べ上げて、この本を書きました。

表現こそ、「ヤっちゃった」「イッちゃった」などと、くだけた調子で書いていますが、神代から現在に至るまでの日本史を、男色を切り口として一次資料を調べ上げていて、とても資料性が高い本だと思います。

この本によれば、こと同性愛に対しては、西洋と日本では、大きな違いであることがわかります。

西洋では、キリスト教を背景に、同性愛に対する厳しい迫害の歴史がありました。
ジャンヌ・ダルクは、男装していたという罪で処刑されたし、旧約聖書にも、同性愛にふけったソドム・ゴモラといった街は、神の怒りに触れて滅ぼされたと書いてあります。

しかし日本においては、男色が変態扱いされたのは高々この150年で、それ以前は男色は一般的でした。
むしろ男色ネットワークが、歴史を背後で動かしていた、というのです。

そして、著者は、LGBT運動家が、当事者である性同一性障害や同性愛者をそっちのけで、イデオロギーを持ち込むことは、やめて欲しいと言っています。
当事者の方々は、他の人々の権利を奪ってまで権利を主張しようなどとは、考えていません。
一人の人間として、普通に付き合ってほしい、と言っているだけなのです。

私自身は、家庭連合の信者ですので、神が与えた性を自分勝手に決めることはしません。
しかし一方で、神が親なら、どんな人でも見捨てることはない、と思っています。

この本は、浜田聡参議院議員の、予算委員会での質問の中で紹介されたものです。
今政府が進めているLGBT理解増進法や同性婚法制化の動きについては、慎重に議論すべきと思います。