破戒

島崎藤村の長編小説です。

穢多である主人公、瀬川丑松が、父親から厳しく言い付けられてきた、自らが穢多であることを隠すという戒めを破り、自分の背景を告白するまでの、心の葛藤を描いています。

当時の社会背景では、江戸時代の身分制度が色濃く残り、穢多というと社会から阻害されていたわけです。今の社会ではほとんど聞かれなくなりましたが、このような差別は、形を変えて、今に残っているように思います。自らの身分を、言うことが出来ずに苦しむ心理は、その立場に立たなければわかりません。だから、社会は、想像力を働かせて、差別される者の心中を理解するよう努めるべきと思います。

現在、家庭連合の信者も、このような心境をかこっているのではないかと思います。自らが信者であることを公にすれば、社会から疎外されてしまう。自分の行いや思想によってではなく、社会の風評によって、社会的な立場が脅かされてしまう。
日本を、そのような社会にしては、ならないと思います。