使用者責任
少し前の話ですが、旧統一教会の信者が不法な行為をして裁判で負け、それに対して教会の使用者責任が認められた場合、それは個人の行為なのか、組織ぐるみの行為なのか、という議論が、橋本徹氏と紀藤正樹氏の間で行われていました。二人とも弁護士です。
紀藤氏は、使用者責任が認められれば組織ぐるみなのだから、解散請求に繋げられると言っています。橋下氏は、使用者責任が認められても、それは組織の問題とはならないという意見です。
紀藤氏は、橋下氏が何を言っているのかわからない、とコメントして紛糾していましたが、使用者責任の問題は民法の基本的な論点で、こんなことで意見がわかれるのは不思議です。
使用者責任を規定しているのは、民法715条ですが、この条文は、被用者が不法行為を行なった際に、被用者が十分な資力を持たない場合に、被害者を救済するために、使用者に連帯責任を負わせ、被害者が損害賠償を受けられるようにするためのものです。
あくまで不法行為を行なっているのは、被用者個人ですから、使用者の不法行為を認定するものではありません。
この点、橋下氏のコメントが正しいと思われます。