人間不平等起源論

18世紀の哲学者、ジャン・ジャック・ルソーの本です。昔世界史で習ったことがあり、どんなものかと読んでみました。

世の中は不平等であるが、人間はもともと不平等なのではなく、社会生活を始めて、人が一人で生きていけなくなってから、不平等が発生したと言っています。

最初の人間たちは、自然と共に生きていて、不平等はありませんでした。自分のものと他人のものに区別はなく、私有財産という概念がなかったのです。しかし、人類に私有財産という概念が生まれ、他人から必要以上の財産を得て、富を蓄えるようになり、不平等ができました。

それは、人類が生産性を爆発的に向上させたのがきっかけで、具体的には、小麦と鉄を発明したことです。他人の労働の結果を自分のものとする権力者が生まれ、社会システムの中に組み込まれていったというわけです。

難しいテーマですね、いろいろ考えてしまいました。

生産性を上げて豊かになることが人間の願いであり、自然な欲求だと思いますが、それが不平等の起源だというのですから、不平等を悪とすれば、人類は豊かになってはならず、自然な欲求を抑えなければならない、ということとなってしまいます。

そうすると、不平等が悪なのではなく、恵みを受けたものは、その恵みを他の者に与える責任がある、と考えた方がよさそうです。

しかし恵みを受けていない者の立場からすると、持っている者は他人から搾取したのだから、持っていない者はそれを奪い返さなければならない、と考えるかもしれません。

世界史では、18世紀の啓蒙思想から、自由主義や、共産主義など、いろいろな思想が発生したと習いましたが、興味深いことです。