過料通知は棄却されるのではないか
文部科学省は、家庭連合について質問権に対して回答拒否したとして、9月7日に東京地裁に過料通知をしました。
東京地裁から家庭連合に対して意見陳述が求められましたが、家庭連合はそれに対して10月13日に東京地裁に対して意見陳述書(2)(以下、陳述書)を提出しました。これが家庭連合のHP上に公開されています。
文部科学省は、過料決定が行われる前提で、10月13日に解散命令請求を行い、さらに与野党は解散命令が決定される前提で、今国会で財産保全の立法の検討を進めています。
しかし、陳述書を丁寧に読むと、過料通知が棄却される可能性が結構あるのではないかと、私は思います。
陳述書の論旨は、家庭連合が10月16日に行った会見の通り、宗教法人法第81条第1項第1号の「法令に違反して」の要件について、違反した法令が特定されていない、ということです。これは陳述書の最後に書かれている通り、「法律要件の主張欠落は致命的」であって、裁判所がこの点を無視して過料決定をするようには、私には思えません。
ポイントは、10月16日の会見で福本弁護士が話していましたが、意見陳述書の提出を2回に分けており、2回目の陳述書は、10月13日に文部科学省が解散命令請求を提出したのを見届けた後に提出したことです。。
過料通知が棄却されれば、同じ論旨で提出された解散命令請求も同様に棄却される可能性が極めて高くなります。
解散命令請求前にこの陳述書を出すと、文部科学省は解散命令請求の要件を補正してくる可能性があるため、それを防ぐために、わざわざこのようにしたわけです。
つまり、福本弁護士は、最初から解散命令請求が出されることを見越した上で、戦略的に陳述書を提出しているわけです。
文部科学省や政府は、裁判所の司法判断を全く無視して先走っている感があります。言葉を選ばずに言えば、裁判所をナメているわけで、私が裁判官だったら「ふざけるな」と考えると思います。文部科学省は、せめて過料通知の結果を待ってから解散命令請求を出すくらいの配慮をするべきだったのではないでしょうか。そうしなかったのは、岸田首相が国会開会前に「旧統一教会問題に対して手を打った」というアピールをしたかったからでしょう。
このようなところにも、政治の都合で家庭連合の解散を進めていることが伺えます。政教分離の真逆の施策であると言わざるを得ません。