日本の未来と家庭再建(13)  幸福な結婚に必要なもの②

夫婦生活は、愛の訓練所です。前回書きましたが、成功するカップルは9割の確率で相手を優先していましたが、これは相手を大切にしようという強い意志がなければできないことです。

結婚式は、神前式であろうと、キリスト教式であっても、神の前に誓いを立てる宗教儀式として行われています。日頃は無神論者であったとしても、結婚式の時だけは、牧師が「あなたは妻を永遠に愛しますか?」と尋ねると、新郎は「はい」と答えるわけです。

これは、宗教家でなければ結婚ができない、ということではありません。結婚生活を成功させるためには、よい夫婦関係を築くために、自分より相手を優先し、お互いに尊重するという、自分を越えた価値観を共有することが必要であり、それはある意味宗教的な価値観に近いという意味なのです。

新約聖書には、「信仰とは望んでいることがらを確信し、まだ見ぬ事実を確認することである」という言葉があります。目の前の困難を、意味のあるものとして捉えて、幸福を信じて現実を乗り越えていく態度のことです。こうした姿勢は、現代においても幅広く見ることができます。例えば、トップレベルのアスリートたちは、「神は越えられない試練は与えない」という言葉をよく使います。懸命に練習しても、結果が出なかったり、怪我などに襲われる時、それでも前進するモチベーションを保つのは大変なことです。その時、その試練は何か意味あると信じて、その向こうに希望を見出して前に進む姿勢は、ある意味宗教的な力とも言えます。

結婚生活も同様で、どんなに熱烈な恋愛で結ばれた夫婦も、必ず結婚の危機が訪れます。仕事のこと、生活のこと、子育てのこと、様々な要因で意見の不一致がおきます。その時に、「これはよりよい夫婦となるための試練だ」と考えるか、「この人と一緒にいるのは、もう無理だ」と考えるかで、その夫婦生活が大きく変わってきます。意見が異なっていても、お互いに尊重する努力をすることは、結婚生活に希望があることを信じなければ、続けることは困難です。

更には、理想の夫婦関係を続けるために、そのような家族同士の交流も大切です。そのために、地域コミュニティが大きな役割を果たします。子育てで悩んだり、わからないことも、子育ての先輩である親や祖父母、さらには地域のおじいさん、おばあさんが相談に乗ってくれれば、心強いことです。ママ友やパパ友などのコミュニティも、大きな力になります。一人で悩むのではなく、相談相手がいるということが、とても大きな力になるのです。