山上被告側の控訴趣意書 宮西被告との類似性

安倍元首相を暗殺した山上徹也被告の弁護側が控訴し、控訴趣意書を提出しました。その中で家庭連合と安倍元首相の関係を主張し、量刑を争うとのことです。
https://www.fnn.jp/articles/-/1124586

報道によると、弁護側は無期懲役の量刑を争う方針で、ポイントになっているのは次の点です。安倍元首相の在任中である2015年、文化庁は旧統一教会の名称変更の申請を認めていました。旧統一教会は、2020年までに自分たちの教義を国民の宗教にすると掲げていた団体です。また、安倍元首相自身も旧統一教会の関連団体にメッセージを寄せていました。こうしたことから、山上被告は控訴審で旧統一教会と安倍元首相のつながりを明らかにし、量刑などを争うとのことです。

量刑を争うこと自体は構わないと思います。しかし、家庭連合と安倍元首相のつながりといっても、ほとんどないのです。接点はビデオメッセージを出したことくらいで、それ以外はほぼありません。ほかの政治家には何らかの付き合いがあったかもしれませんが、安倍元首相についてはそれだけです。それにもかかわらず、そうした趣旨で量刑を争うこと自体がおかしな話です。そもそも、安倍元首相を狙った山上被告の思い込みは、マスコミがあおり立てた結果です。まったくマッチポンプのような話になっていると言わざるを得ません。

昨日の動画では、選挙期間中に立花孝志氏をナイフで襲った宮西詩音被告の初公判について報告しました。私は山上被告の裁判は傍聴していませんが、宮西被告の裁判は傍聴しました。そこで強い違和感を覚えました。宮西被告の事件には、山上被告の事件とある種の類似性があると言わざるを得ません。

もちろん、宮西被告は裁判所から安倍元首相の殺害事件に影響を受けたのかと質問され、それはないと明確に答えていました。ただ、直接の影響は受けていなかったとしても、類似性があります。今回はその点についてお話ししたいと思います。

事件の状況の共通点

まず、どちらも選挙期間中に政治家を襲った事件だという点が共通しています。しかも、どちらも投票日の2日前の金曜日でした。安倍元首相の事件は、参議院議員選挙の投票日直前の金曜日、午前11時ごろでした。立花氏の事件は、千葉県知事選挙の投票日の2日前の金曜日、午後5時ごろでした。時間は違いますが、偶然とはいえ奇妙な一致点です。

次に、山上被告と宮西被告の共通点を4つ申し上げます。

共通点1
不幸な家庭環境

1つ目は、不幸な家庭環境にあったことです。山上被告は4歳のときに父親を自殺で亡くしています。父親は山上被告の母方の祖父の会社に勤めていましたが、折り合いが合わず、それを苦にしたのか自殺したとされています。

また、兄は小児がんの影響で目が見えず、その世話もありました。家庭が非常に不幸な状況にあったことは、本当に同情すべき点です。ちなみに、母親が家庭連合に入信したのは山上被告が11歳のときです。このことを考えると、母親が家庭連合に入信したから家庭が不幸になったというよりも、家庭が不幸だったから母親が入信したと言えるのです。その後、山上被告が35歳のときには兄が自殺しています。

一方、宮西被告の場合は、1歳のときに両親が離婚しています。その後、母親とともにベルギーやスイスなど海外を転々とし、母親に完全にコントロールされるような状況にあったそうです。5歳で日本に帰国して小学校に入りましたが、まったくなじめず、不登校になりました。母親は、おそらく欧米式の考え方なのでしょうが、フリースクールに通わせ、高校にも進学しませんでした。その後、高卒認定の資格を取り、放送大学に通信制で入学して卒業したとのことです。

このように、同情すべき家庭の背景があることが1つ目の共通点です。

共通点2
社会性のなさ

2つ目は、社会性のなさです。山上被告は学校を卒業した後、自衛隊に入隊しました。しかし、そこになじめず、自殺未遂まで起こして辞めています。その後は職を転々としましたが、どこにもなじめずに辞め、最後に勤めたフォークリフト関係の会社も1年半で辞めています。社会になじむことができなかったという、社会性のなさがありました。

宮西被告もまた、非常に独特だと思います。大学を卒業した後、母親から離れたいという理由で都内で一人暮らしを始めました。その後、父親が亡くなりました。離婚していても相続権はありますので、遺産を受け取って生活していたそうです。働かなくても生活できたこともあるのかもしれませんが、コロナ禍の5〜6年ほどの間、誰とも一言も話さずに過ごしていたそうです。もっぱらゲームや動画を見て過ごし、SNSもやっていなかったとのことです。他者との交流を一切絶っていたと話していました。本当に社会性がないと言わざるを得ません。

共通点3
激しい思い込み

3つ目は、勝手で激しい思い込みをすることです。これにはマスコミの影響が非常に大きく、マスコミにも責任があるのではないかと思います。

山上被告は、家庭連合と安倍元首相が非常に深い関係にあり、安倍元首相は家庭連合の象徴のような存在だと思い込んでしまいました。当時、マスコミはそのようなことを報じていませんでしたので、そうした主張をしていたのは鈴木エイト氏です。山上被告は鈴木氏の発言に感化され、それならば安倍元首相を殺さなければならないと考えるようになったのです。家庭連合と安倍元首相はズブズブの関係でも何でもないのですが、そうした言論に影響されてしまったということです。

一方、宮西被告も激しい思い込みをしていました。竹内元県議が自殺したのは立花孝志氏のせいで、立花氏が自殺にまで追い込んだのだと思い込んでいたのです。SNSは見ていないと話していましたが、テレビは見ていたようですので、おそらく報道に影響されたのだと思います。

宮西被告は、2019年の参議院議員選挙でたまたま立花氏に投票したと話していました。そこから責任を感じ、自分がやらなければならないと思ったようです。しかし、立花氏に投票した人は何十万人もいます。なぜそこで彼が責任を感じるほどに話が飛躍してしまうのかはわかりません。いずれにしても、竹内元県議が自殺に至ったのは立花氏のせいだと思い込んでいたわけです。報道やSNSなどの情報を見て思い込んでしまう、そうした性格が共通しています。

共通点4
独りよがりの正義感

最後の4つ目は、自分なりの正義感を持ち、その正義感に縛られてしまうことです。その正義感を疑わないということです。

山上被告は、安倍元首相を殺してもよい、それが社会のためになると考えていました。もともとは韓鶴子総裁が来日したら殺害しようと考えていたものの、それができなかったため、代わりに安倍元首相を殺害しようと考えたようです。強い殺害の動機を持っており、発作的な犯行ではなく計画的なものでした。長い期間をかけて銃を自作し、研究していたわけですから、計画性も高く、用意周到なものです。強い信念を持ち、それが正義だと思い込んでしまったということです。

宮西被告も、1月ごろにそうした報道を見て、立花氏に投票した自分が立花氏を殺害しなければならないと思い込みました。そしてナイフを準備し、さまざまな細工を施しました。さらに、周りの人に迷惑をかけないためという名目で、光と音を同時に出して周囲を驚かせるフラッシュバンのようなものまで用意して、犯行に及んでいます。計画して準備していたのです。

自分なりの正義感を持って犯行に及んでしまう異常さと恐ろしさが、2人に共通していると思います。

マスコミの責任

この一連の経緯を見てみると、不幸な家庭環境には同情すべきところがあります。しかし、その後社会性を失った人物の思い込みを認めたり、犯罪へと感化したりするようなことがあってはならないと、強く思いました。

今回、量刑を下げるための山上被告の控訴趣意書についても、マスコミは家庭連合との関係をもう一度洗い直さなければならないかのように、彼の発言に便乗しています。家庭連合がどうこうという話を、また蒸し返そうとしているのです。彼が起こした犯罪に乗っかって、意味のない宣伝をするのは、マスコミがこの事件を利用していることにほかなりません。彼のある意味で不幸な人生と、彼が犯した過ちを利用して、また騒ぎを起こそうとしているということです。

宮西被告の事件についても同様です。被害者の立花氏は、竹内元県議に対する死者の名誉毀損の疑いで逮捕され、現在勾留されています。これを機に立花氏をおとしめるような宣伝をするのであれば、報道機関の罪は大きいと思わざるを得ません。宮西被告の事件については、まだそこまでの話にはなっていないように思います。

しかし、マスコミの宣伝によって、特に社会性のない人々が犯行に走るようなことは、何としても防がなければなりません。マスコミは、こうした事件の発端を担ってしまっていることを自覚しなければならないと、強く思った次第です。

動画はこちら
https://youtu.be/VmcD55rasQI