中国で開発が進む次世代原子炉 トリウム溶融塩炉の開発を急げ
イラン情勢がなかなか安定しないなか、中東の原油に頼っている日本のエネルギー事情は、非常に厳しい状態になっています。そうしたなかで、原子力が再評価されています。
しかし、現在の原子力にも、核廃棄物の最終処分場がまだ決まっていないなど、不安な面がまだまだあります。そこで、次世代原子炉の研究が進められています。たとえば核融合炉などがありますが、私が以前から注目しているのは「トリウム溶融塩炉」です。
トリウム溶融塩炉とは、ウランより原子番号が1つ小さいトリウムを燃料とする原子炉です。トリウムを溶かした塩に溶かし込み、その塩を700〜800℃ほどの高温にして炉内を循環させます。その熱を冷却水に伝えて水蒸気をつくり、タービンを回して発電する仕組みです。
「溶融塩炉」という名前のとおり燃料が溶けているため、液体燃料ということになります。ウランの場合は、固体燃料をペレットにして炉心で燃やすので、仕組みが非常に複雑です。一方、溶けた状態の燃料を循環させるトリウム溶融塩炉は、構造がシンプルです。この点が注目されている理由です。
日本ではこの開発がなかなか進んでいません。一方で中国は、実験炉まで建設して成果を上げています。中国の報道機関である新華社は、「中国、トリウム溶融塩炉で核燃料の転換に成功、世界初」と伝えています。
https://jp.news.cn/20251104/f6c77b2bbb6f4db0b34e0e3d5f630dc8/c.html
この実験炉の出力は2MW、つまり2,000kWです。日本の原子炉は平均して約100万kWですから、それと比べるとかなり小さなものです。それでも、実際に運転されていることが重要です。中国ではこうした実験が着々と進み、成果が上がっています。
では、なぜ日本ではトリウム溶融塩炉の研究が進まないのでしょうか。日本の原子炉の主流は軽水炉です。ウランを核分裂させてプルトニウムを生成し、そのプルトニウムを再処理して再び燃料として使う研究が、長年続けられてきました。日本はその路線から抜け出すことができていないのです。
また、トリウム溶融塩炉では燃料が炉内を循環するため、循環用のポンプや配管などのメンテナンスをどうするかといった課題もあります。こうしたさまざまな理由から、日本はなかなか手を出していません。
一方、中国はそうした課題にとらわれず研究を進め、成果を上げています。これが成功すれば、中国は非常に先進的な原子炉を手に入れることになります。カナダなど研究を進めている国はほかにもありますが、日本は本当に遅れている状態です。
日本が技術で生きていく国であるならば、こうした次世代原子力の研究をぜひ進め、成果を上げて、世界をリードしてほしいと強く思います。
トリウム溶融塩炉については、研究論文などもいろいろ公開されています。皆さまにもぜひ知っていただければと思います。
動画はこちら
https://youtu.be/4R6DpTNrzRc


