中国はなぜ権力主義なのか

中国という国は、国民自体が権力に対して非常に敏感な国柄ではないかと思います。これは国家に限った話ではなく、たとえば企業の中においても、一体誰が権力を持っているのかということに、非常に強い関心が寄せられます。

私も、今から二十年近く、いえ三十年近く前になりますが、日系100%の会社で仕事をしていたことがあります。当時は副社長という立場でおりましたが、その頃も、一体誰が実力を持っているのかということについて、私の部下たちは非常に大きな関心を持っていました。ですから人事を行う際にも、その点をめぐって色が出るようなことがありました。正直なところ、これは本当に大変な国だなと感じたものです。

なぜそうしたことが国柄になっているのかと考えますと、やはり中国という国が、権力闘争によって成り立ち、受け継がれてきた国なのだろうと思います。

中国を初めて統一したのは秦の始皇帝です。それ以前の約五百年間は春秋戦国時代と呼ばれ、国と国とが権謀術数を働かせ、互いに覇権を争う時代が長く続きました。そして、国が国を滅ぼす際には、その時の権力者は、人民は別として、権力を失った途端に粛清されてしまいます。それは無慈悲だからそうするのではなく、そうしなければ後からひっくり返されてしまう恐れがあるからです。

また、権力を握った後も、次の世代になったときに、たとえば兄弟が何人かいて、そのうちの一人が皇帝になったとすれば、残りの兄弟たちは粛清されてしまいます。これもやはり、後から権力をひっくり返されることがないようにするためです。しかも一人だけではなく、家族もろとも、一族ことごとく粛清するというような歴史があるわけです。ですから中国において、権力というものは非常に大きな意味を持っていると思います。

現在は習近平政権となっていますが、本来であれば二期で退任すべきところ、三期目も務めるということになっています。なぜ次の世代に権力を移譲しないのかといえば、やはり同じように、権力を失った途端に粛清されるということがずっと続いてきたからです。つまり中国は共産主義国家ではありますが、それ以上に権力主義国家なのです。権力に対する執着が、非常に強い国だと言えます。

その点で申しますと、日本のように、権力の主体が変わろうとも天皇を戴き、万世一系の皇統を守るという考え方は、中国には存在しません。ですから権力だけが、すべての存在の根拠になっているということかと思っております。

したがって、中国が海外に対して覇権主義的な姿勢を取るのも、やはり同じ考え方によるものだろうと思います。国内がそうした争いの中で成り立ってきたのですから、海外に対しても同じことをするということです。

ですから、日本人が日本的な感覚でこれらの国に対応し、「この辺りでとめておくのではないか」「なあなあで事を納められるのではないか」と考えても、決してそのようには収まりません。弱みを見せれば徹底的にやってくる、そういう歴史を辿ってきた国であります。そうした国に対しては、それにふさわしい気概を持って向き合う必要があるかと思います。

もちろん、日本の側から過剰に攻撃を仕掛けるようなことをする必要は全くありません。日本はその面では、きちんと平和を守っていくと宣言しているのですから、武力攻撃をするという考えはありません。しかし、武力で攻められるということはあり得るわけですから、それに対してはきちんと準備をしておかなければならないと考える次第であります。

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https://youtu.be/bLzuu7H_Ts8