TM特別報告 問題ないことを曲解

有田芳生氏、石井謙一郎氏、柳錫氏の著書で、最近『TM特別報告 徹底解剖』という本が出版されました。この本は話題にもなっておりますので、私も一冊取り寄せまして、全て読んでみました。

読んだ結果、率直に申し上げますと、このTM特別報告という文章自体が、特に大きな問題があるわけではない内容を、ことさらに重大な問題であるかのように書いているだけのものではないかと、私には思われました。また、致命的と言えるほど重要な誤りもあります。意図的なものではないとは思いますが、もしそうなら悪質と言わざるを得ません。この点について、ここで指摘しておきたいと思います。

このTM特別報告の主な報告者は誰かと言えば、UPFの日本会長を務めていた梶栗正義氏と、元家庭連合会長の徳野英治氏の二人です。他の方は登場しておりません。一部、奈良教会の大教会長という方の名前が出てまいりますが、この方はご自身では報告書を書いていないとおっしゃっているとのことで、この点からも文書自体の信憑性には疑問が残ります。教団側もこのTM特別報告なるものが存在したこと自体は認めているようですが、内容、というよりもその性質については注意が必要だと考えております。

この文書はいわば私的な性質のものであり、教団に対する正式な報告文書ではありません。あくまでも、当時の世界本部長であったユ・ヨンホ氏個人に宛てて出されたものであって、正式なものではないということが、これを見ればよく分かります。

その根拠の一つとして、時期に関する大きな誤りがあげられます。
徳野氏の経歴について、こう書いてあります。
「2009年に引責辞任。2021年に会長に復帰し、安倍元首相銃撃事件後の2022年11月に再び辞任した」(P15)

そして、この本によく登場する2021年から2022年にかけての出来事は、あたかも徳野氏が家庭連合の会長として関わったかのように書かれていますが、実際にはそうではありません。272ページに記載されている家庭連合側の資料によれば、徳野氏の会長在任期間は2012年12月から2020年10月までとなっております。つまり、安倍元首相銃撃事件当時、徳野氏は会長ではなかったのです。この時期、田中会長が記者会見をしていたことからも、これは明らかです。どの立場で書かれたものかということは非常に重要な点ですので、ここに大きな誤りがあることは看過できない問題だと考えております。

この本には、TM報告の意味を語ったとされる報告として、次のような記述があります。「私自身がまずなすべきことは、真の母様に定期的に書簡報告を通じて神日本の現状、活動状況をお知らせすることだと信じております。言い換えれば、私の最大の責任は、真の母様に神日本をつなぐことだと信じております」(P15)

しかしながら、そもそも真のお母様、即ち韓鶴子総裁は視力が非常に弱く、いわゆる弱視の状態であり、文字を読むことが難しい状況です。長年治療を受けておられ、現在も治療の必要から拘置所から病院に移されていると伺っております。もし韓鶴子総裁が若い頃であればまだしも、総裁という立場になってからは、何かを話す際に、文字を読みながら話されるところを、私は一度も拝見したことがありません。強い光を防ぐため、サングラスを屋内でもかけておられるほどですので、文書を読むこと自体が難しい状況にあります。したがって、徳野氏がここで述べていることの意味は、こうした報告書をユ・ヨンホ氏に送ったということ、そしてご自身が書かれている通り、それが神日本を真のお母様につないだ、という意味合いでしかないと考えております。あくまでもこれは私信であって、正式な書簡ではないということです。

その証拠に、もしこれが正式な書簡であったならば、ユ・ヨンホ氏が世界本部長を務めていた期間に、2020年10月以降は田中富広会長が会長であったわけですから、田中富広会長の名前でユ・ヨンホ本部長に書簡が提出されていなければおかしいはずです。しかし、この本の中には田中富広前会長の書簡は、一切出てまいりません。このことからも、これが正式な報告書ではないということがよく分かります。あくまでも徳野氏の私的な考えが出ているにすぎないということです。

次に、梶栗氏が、なぜ政治家にアプローチするのか、書かれた内容についてです。2020年6月の報告で、次のような趣旨のことが書かれています。
「どうすれば真のお母様を日本の国賓としてお迎えできるか、様々なチャンネルを通じて調べ研究してみましたが、国家元首でなければ国賓という名目で日本にお迎えすることはできないという厳然たる事実の前に、多くの悩みを抱えることになりました。」(P26)

韓鶴子総裁を国賓として日本にお迎えするということ自体、大変困難で壮大な目標ではありますが、こういう目的で、政治家に働きかけを行っていたにすぎないということです。
日本のリーダーとして、信仰者の代表としてこうした働きかけを行うことは、一途な信仰心の表れであり、純粋で無邪気な動機によるものと言えます。これのどこに問題があるのでしょうか。実現するかしないかは別として、こうした活動には、全く問題はないと思います。

次に、以前報道でも取り上げられた、「天皇制廃止」について、2021年、すなわち徳野氏がすでに会長ではなかった時期の報告について触れたいと思います。次のような記述があります。
「より自然な形式で天皇制が撤廃される方向へ進み、そしていつか日本国民が真のお母様をよく侍ることができる国家体制、そしてそのような日本民族を真のお母様のもとにつなぐことができる節理的な人物として、多くの国会議員が誕生する」(P38)

この部分について、これが教団の狙いが天皇制廃止にあったという記述だと解釈されているようですが、私自身、長年信者を続けておりますけれども、天皇を敬愛することはあっても、天皇制廃止といった方針を、聞いたことも言われたこともありません。もしこれが教団の正式な方針であったとすれば、私が今、天皇敬愛することはできなかったかもしれませんが、そのようなことは全くありません。

この件に関しては、徳野氏自身が『女性自身』で報道されたことについて反論を書いております。
「「TM特別報告」の私の報告の中に、皇室制度に対して粗暴な記述があったことが報じられていますが、この記述は私の本意ではなく、私がそのような表現をした覚えもありません」(P39)

この報告書は、ユ・ヨンホ氏が自ら文章を書き換えたものと見られます。韓国人の中には、基本的に日本に対して否定的な感情を持つ方もいることから、意図的に内容を変えられた可能性があると考えております。したがって、これが正式な報告書ではないということに加えて、その内容自体もユ・ヨンホ氏によって書き換えられていた可能性がある、ということがここからも分かります。

私としては、徳野英治氏に若いころ指導されていたこともあり、また様々な場で徳野氏が話をしているのを聞いてきましたが、「天皇制を廃止」などという話は、一度も聞いたことがございません。つまり、これはあくまでもユ・ヨンホ氏個人の見解であると言わざるを得ません。

また、献金についての、2020年8月の徳野氏の報告について書いてあります。徳野氏が会長時代のものです。
「本日8月5日時点における神日本の天寶入籍勝利家庭の実績は以下の通りです。
従来の430数を勝利し、210数の天寶入籍のための祝福感謝献金まで本部へ完納した家庭が、本日8月5日時点で424家庭となりました」という記述です。

この天寶入籍家庭に関しては、私自身も当時これに向けて一生懸命取り組み、献金をいたしました。神の摂理に貢献したいという信仰心から献金を行ったのであり、このこと自体に何の問題もありません。この本では、あたかも多額の献金を強いられたかのような書き方がされておりますが、実際には何の問題もない活動であったと考えております。

それから、2021年の岸田内閣での衆議院議員選挙のあと、こちらも徳野氏が会長ではなかった時期の報告があります。
「我々と近い関係にあった国会議員の方々の動向について、萩生田光一元文部科学大臣、山際大志郎国会議員、岸信夫元防衛大臣、牧島かれん国会議員、福田達夫国会議員、といった名前が挙げられています。(P56)

これらの国会議員は、関係断絶宣言後、何の交流もなくなっています。当時、こうした国会議員の方々と接点を持とうとしたのは、先ほど申し上げた通り、韓鶴子総裁を日本にお迎えするための活動の一環であり、これのどこに問題があるのか、私には分かりかねます。この本にはいくつも問題があるかのように書かれておりますが、実際には何の問題もない活動であったと考えております。

それから、安倍元首相暗殺事件後の、2020年7月8日の奈良教区長による報告のことが書かれています。暗殺事件直後の様相が生々しく記録されているとされる報告ですが、これについては家庭連合の広報渉外局が既にプレスリリースを出しています。
「奈良教区長による報告書は本人が報告した事実もなく、多くの作為的な文書が散見されます」(P92)

当時の教区長は何十人もいますから、こうした報告書をわざわざ総裁にまで送るということ自体、不自然だと思います。仮に、徳野氏個人の私的な報告であればまだ理解できますが、一教区長からこのような報告が総裁に届くということは、あり得ないことだと思います。これは捏造の可能性が高く、誰が捏造したかは分かりませんが、事実と異なる内容が含まれているのは間違いないと考えております。

以上のように、徳野氏が会長でなかった時期の出来事があたかも会長時代のものであるかのように書かれていたり、報告書を書ける立場のものでないものが入っていたり、事実関係の混同もあると考えております。この本を読んでの感想は人それぞれかと存じますが、一信者として、また徳野英治氏を存じ上げる者としてこの文章を読んだ限りでは、問題ないことを問題あるかのように書かれていると、思わざるを得ません。

TM報告書自体は3200ページほどあるとのことで、私自身それを入手して読める立場にはございませんし、その全体について論評するつもりもございません。ただ、少なくとも『徹底解剖』と題されたこの本自体が、必ずしも正確な内容を書いているとは言えないというのが、これを読んだ感想です。

動画はこちら
https://youtu.be/yt3EithKByA