政府の現金給付金案の問題

現在、石破政権では、国民に一律現金給付をすると言うことがまあ検討されていると報じられています。確かに、コロナに入った時に、緊急経済対策ということで、一律10万円でしたか、配布されたことがありました。現在も、物価が上がってるということは確かにその通りですが、現金給付をすることに何の意味があるのか、わかりません。

日本維新の会だと思いますが、約4000億円ぐらいが外国人支払われてしまうとか、参議院選挙を意識した政治的な施策ではないかとか、いろいろな批判が出ています。私は、それはそれで、効果が見込まれるのであれば、そのような思惑は排除して、評価するべきだと思いますが、私が疑問視するのは、5万円なり10万円なりの給付をすることに、何の意味があるのかというところです。

私は、本業は中小企業診断士、行政書士ですが、特に中小企業診断士として、お金の使い方、つまり投資については、きちんと効果を評価しなければいけないと考えます。これだけの費用を使えば、これだけのメリットが出ます、ということを考えなければ、およそ経営なんてことはできません。国家の経営ということを考えた時に、きちんと支出とそれに対する収入を計算して、帳尻が合うのか合わないのか、そういうことも考えていかなければいけないと思います。

そういう観点で見た時に、5万円や10万円の現金給付をしたところで、この物価高騰自体が抑えられるわけもなく、ほぼ気休めにしかならないと思います。

受け取る方にしても、将来が不安なわけですから、商品を購入するかというとそうではなく、預金にするか、逆に借金を返すか、そんな形でしか使わないのではないかと思います。

だから、物価対策には全然ならないことを懸念します。

私は中小企業診断士として、いろいろな補助金や経営改善がメインの仕事なのですが、国の指導は、賃上げというのが、非常に大きなテーマになっています。もちろん賃上げをすれば、社員としては助かるというという発想で、政府が行っている施策はとにかく賃上げ施策が多いです。給与が増えるということは、いいことですが、経営者は、特に日本の企業の99.7%は中小企業ですが、その中小企業が賃上げといっても、その元となる、原資となる利益がないと、賃上げもできないわけです。

だから順序が逆だと思います。どうやって売り上げを確保するのか、そしてその中の利益から、給与なり様々な経費の支払原資が生まれるわけです。だから、売上拡大の施策がなければ、賃上げは不可能なんです。

これが私の肌感覚として、今の日本の中小企業が背負っている一番大きな課題だと思います。それでは、その売上を拡大するための施策として、どういうことができるかと言えば、例えば政府の公共事業、あるいは海外への輸出振興策、あるいは内需の拡大、インバウンドを狙った売り上げ拡大など、様々な施策が考えられます。要するにマーケットを増やしていかなければ、売上は増えないわけです。そのための施策をどうするかについて、知恵を絞るべきだと思います。現金をばらまけば、売上が増えるかと言えば、増えないわけです。従って、賃金も上がらない、こういう形になります。

国家の運営をするには、やはり経営的な観点がないと、やることがちぐはぐで、場当たり的、その場限りという形になってしまいます。もし現金給付で物価高騰対策をするのであれば、総合的にこれだけのその資金を投入すれば、これだけの抑制効果が出て、それが企業の利益にこれだけ貢献するという、そういう試算をすればいいのですが、何もないわけです。ただとにかく現金をばらまくみたいなことでは、全く意味がないと思います。

国家といえども、経営をするわけです。経営というのは、限られた経営資源を、どのように配分するかということが、最も大事なわけです。資金もそうですし、人もそうです。それから、資源もそうですね。こういった限られたものを、いかに有効に使って、運営していくかということに知恵を絞っていく必要があると思います。

かなり包括的なことを申し上げましたが、基本的な考えがなければ、国家運営は難しいと思いますので、このような主張もしていきたいと思います。

動画はこちら
https://youtu.be/HOnbN6pZgJo