「解散命令後も任意団体として継続できる」はウソ
先週、家庭連合に対して東京地裁により解散命令の決定が下され、各新聞が一斉に報道しましたが、一様に書いてあるのは、たとえ宗教法人格を失ったとしても、任意団体としては継続できる、というものです。失われるのは税制優遇だけだと、こういう書き方です。
これは嘘です。
解散命令というのは、文字通りその団体を解散することであって、任意団体として継続することなどできません。全部無くなった後に、新たに信者が集まって、サークルのような団体を作ることが出来るに過ぎません。全てゼロになってからの再スタートをいうことになります。それを、継続することができるなど、とんでもない大嘘です。
関連する記事を見てみたいと思います。
【NHK】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250325/k10014759591000.html
こちらに、図が書いてありますが、この図は非常に正確です。

現在は、東京地裁から解散命令が出たところです。即時抗告が2週間以内に行われます。
東京高裁で解散命令が下りると解散手続きが開始されます。
不服なら特別抗告ですが、特別抗告は確定遮断効がありませんので、執行力が発生して、解散手続きが開始してしまうのです。
もっとも、最高裁は執行停止の裁判を行うことができますので、最高裁がそれをした場合は執行が延期されることもあり得ますが、それが保証されているわけではありません。
NHKはその後に、こう書いてあります。
「解散命令が確定し、宗教法人として解散した後も、信者は教義を信仰し、任意の宗教団体として活動を続けることができます」
解散というのは、文字通りその団体をバラバラにするんです。解散のあとは、先ほどの図のように清算手続きが開始します。
そうなると、清算人が裁判所によって選任されます。
そうすると、もはや宗教法人世界平和統一家庭連合の代表者は田中富広会長ではなくなって、清算人が代表者になり、その団体は清算事業以外活動ができなくなります。
清算とは、残務債務債務を整理し、資産を整理して、税金も全て支払って税務債務を清算した後に、清算決了の手続きができる、ということになります。
宗教活動は、もうその時点でできなくなるわけです。
信者が新しく集まって任意団体を作ることはできますと書いてありますが、それは当たり前の話です。しかしそれでは、継続的な活動など続けることはできないんです。
これを続けることができると書くのは、嘘です。
それから、ついでに言うと、教団の総資産1100億超と書いてありますが、これも非常に紛らわしい書き方です。
総資産1100億円と言うと、財産が1100億円あるように見えます。
しかし、会社の財務諸表を知っている人だったら、これが誤解を招きやすい表現だということがわかります。純資産が1100億円ということであればわかります。しかし、総資産というのは、その反対側に負債が必ずあるはずです。
借入金や、物品の支払い、損害賠償請求、解雇した従業員の給与債務などで、かなりの金額になると思います。
私の想像では、残余財産などほとんど残らないんじゃないかと思います。
ただ、私は財務諸表を見る立場にありませんので、実際はどうだか分かりませんが、少なくとも、1100億円も教団が金持ってるという意味ではありませんので、非常に誤解を招きやすい報道です。分かって書いているんだと思います。
日経新聞の記事もすごいです。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE0735G0X00C25A1000000
「命令が確定すれば、法人格を失い、清算の手続きに入る。税制上の優遇措置が受けられなくなるが、任意団体として宗教活動は継続できる。」
まるで、宗教法人世界平和統一家庭連合が任意団体としての世界平和統一家庭連合になるかのような書き方ですね。
でも、継続などできないです。解散するわけです。すべてをバラバラにして、一旦それをご破算にした後に、あくまで信者が集まって、自主的な活動ができるようになるにすぎません。
これは、宗教活動を継続できてないと言うことになるわけです。いかにも、その税制の優遇措置がなくなるだけで、今までと何も変わらないと読み取れるようなごまかしであり、「解散と言っても大したことはない」と言うように見える、非常にミスリーディングな、恐ろしい記事ですね。
朝日新聞も同様です。鈴木エイトさんが、色々しゃべっていますが、記者がこう質問しています。
「解散しても、宗教団体としては存続でき、信仰や布教などの宗教活動を続けることは可能だ。信者はどうなるのか」
https://digital.asahi.com/articles/AST3T20SJT3TOXIE04HM.html
宗教団体としては存続できません。何回も言いますが、これは相当に悪意のある書き方だと思います。分かって書いてるわけです。解散命令というのは、それぐらいに、影響の大きいものです。
しかも即効性があります。清算手続き中は、清算人が代表ということになりますので、清算活動以外はできなくなります。保有している財産は処分して換金するでしょうし、賃貸で借りている教会も、宗教活動を事業目的とはできないわけですから、賃料を払い続けることは財産を減らすことになり、清算の目的に反することになりますから、これも解約しなければいけません。保証金を回収し、現状復帰などの費用を払って、残ったお金は全部現金化すると言うことになります。資産を保有している教会も、賃貸で借りている教会も、そこではもう宗教活動をすることはできなくなるわけです。
こういう深刻な影響があるのが、解散ということであり、税制優遇を失うだけだというような書き方は、ごまかしだということを、きちんと認識する必要があります。
動画はこちら
https://youtu.be/ddxMEslzMfQ
