兵庫県文書問題 第三者委員会報告 パワハラ認定以外は全て否定されている

3月19日に、兵庫県の元県民局長による内部告発文書が外部に配布された問題に関する第三者委員会による調査報告書が提出提示されました。これについて、いろいろな報道がされていますが、「斎藤知事のパワハラが認定された」ということのみが強調されています。
しかし、内部告発文書があげた7つの事項のうち、認定されたのはパワハラのみで、その他の事項は全て問題ないとされました。この点は、昨年あれだけマスコミは報道したにもかかわらず、全くふれていません。
これについて、兵庫県のHPに掲載されている、実際の第三者委員会の報告書に基づいて、分析してみたいと思います。

まず、問題の発端となった内部告発文書が、こちらです。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk19/documents/siryou.pdf

第三者委員会報告書の概要編がこちらです。
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk19/documents/daijesuto.pdf

内部告発文書は、7つの事項を提示しており、報告書は一つ一つ検証しています。
かなり長いので、私なりに一覧表を作成しました。

上記の通り、7つの事項のうち、問題あるとされたのは、7つめのパワハラだけで、あとは問題ないとされたのです。

第三者委員会の報告書では、兵庫県の対応についても、記載されました。問題と思われるのは、こちらの方です。

この内部告発文書に公益性があるとされ、公益通報者保護法の3号通報に該当するとされました。
しかし、内部告発文書で、実際に問題があるとされたのは、パワハラのみです。
その後の、「斎藤知事と片山副知事ら利害関係者が関与したこと」、「通報者を探索した行為」、「公用パソコン引き上げ行為」が問題とされたのは、これが3号通報に該当することを前提とした場合のみです。その他の事項1~6は、知事の行為に問題があったとはされず、むしろ具体的な取引先名などが記載され、名誉棄損に該当するような内容でした。いわゆる誹謗中傷です。

そして、県民局長に対する人事発令、つまり退職を保留し県民局長の職を解くことは適法とされました。報道では、退職させずに懲戒処分を下したのは権力の濫用だと騒がれましたが、それは適法でした。
処分の理由として、「本件文書の作成・配布行為」は否定されましたが、「公用パソコン内の私的利用」は違法とされました。まさにこの公用パソコンの中に、元県民局長の私的利用の証拠が残っていたのです。
また、内部公益通報の調査結果を待たず懲戒処分が違法とされましたが、これは後付けの理由です。パワハラ以外の事項は全て問題ないとされました。
そうすると、知事の記者会見における発言で「公務員失格」、「うそ八百」というのは、あながち間違いではない、ということになります。

これらは、告発文書に公益性があるとして、3号通報にあたるとしたから問題になるのであって、そうでなければ、逆に誹謗中傷文書を対外的に発信したことの問題点を追及するべきであり、そうでなければ取引先や関係者に迷惑をかけるような内容でした。
むしろ、誹謗中傷文書の配布を問題視すべきで、調査することは当然の内容だということになります。

そして忘れてはならないのは、斎藤県知事が第三者委員会の結果を待たずに元県民局長を懲戒処分したことが問題だというのであれば、兵庫県議会が、百条委員会や第三者委員会の結果を待たずに、斎藤知事に対して不信任決議をしたことも問題だ、ということになります。
斎藤県知事のみが、一方的に責められるべきものでは、ないのではないでしょうか。

ただ、第三者委員会の報告というものは、極めて重たいものだと思います。ここから先は、斎藤県知事がご判断されることだと思いますが、パワハラなど指摘された事項は改善するべきですが、他の事項は問題があるとはされていないのですから、辞職するような話ではなく、県政に集中されたらよいのではないかと思います。

動画はこちら
https://youtu.be/oGlmxDPiT1o