TBS報道特集 「でっちあげの真偽を検証」を検証する

1月25日に、TBSの報道特集で、「追い詰められていた元兵庫県議の竹内英明さん 「でっち上げ」と発言した立花孝志氏は」という内容の番組がありました。元兵庫県議の竹内英明さんが自ら命を絶たれた事に関連して、それがSNSで立花孝志氏がデマを流したことが原因であるかのような論調での報道でした。

私はこれに対して、非常に違和感があります。なぜならば、この報道自体が、きちんと事実を報じていないと思われるからです。
立花氏は、間違った情報を流したのではなく、竹内氏が流した情報の方が間違いでした。
しかし、この報道では逆の論調になっています。
そこで、この「でっち上げの真偽を検証」という部分を、検証してみたいと思います。

TBSは番組をYoutubeで公開していますので、まずは見てみたいと思います。
https://youtu.be/ow2HmGfeIko?si=j6rFoBmL2-9r4eoL&t=669

まず問題点の一つは「竹内氏の発信に間違いは無かった」という部分です。
番組ではこう言っています。
「直前のキャンセルと、呉服屋での着付け。竹内さんの発信に誤りはなかった。」

しかし、竹内さんの発信には、大きな誤りがありました。
それは、番組では竹内さんの9月26日のブログで「ゆかたまつり」について紹介されていますが、6月26日の竹内さんのブログには、こんな内容があるからです。

「齋藤知事、昨年の姫路ゆかたまつりで、地元婦人会による着付けを拒否!!!」(2024.6.26)
去年のゆかたまつりが終わってしばらくした頃。
知事がみんなと一緒に着替えるのは嫌、プロでもない着付けは嫌だと急にわがままを言ったと聞きました。
まず県側から依頼していた姫路市の担当にドタキャンを食らわせ怒らせたという話。
ドタキャンされたのが公民館に控えていた地元婦人会ということで当然、知事が来ることも知らされていた。
姫路市長や商工会議所幹部はそこで着替えたのに知事だけが素人は嫌だって。
https://ameblo.jp/takesan110/entry-12857606629.html

そしてこのブログには、「斎藤・兵庫県知事パワハラ疑惑、噴出が止まらない 姫路ゆかたまつりで「特別扱い」のワガママ」というAERAdot.の記事(2024年6月16日)が引用されていますが、この記事の情報元も、竹内さんです。
「竹内氏が得た情報によると、当日の様子はこうなる。
会場入りした斎藤知事は、着替えのため地元の公民館に案内された。すでに数人が地元婦人会のボランティアの手を借り、浴衣の着付けをしていた。斎藤知事はこう言った。
「みんなと(一緒に)着替えるのは嫌だ」
「ちゃんとしたプロの着付けの人はいないのか」
 激怒ぶりにあわてた事務方が地元の和装店に連絡、その和装店で一人だけ着付けをしてもらったという。」
https://dot.asahi.com/articles/-/226237?page=1

しかし、番組では、ゆかたまつり奉賛会の芳賀一也氏が、こう語っていました。
「僕ら現場の人間からすると、知事はめっちゃ機嫌よかった。ボランティアに罵声かけたん?そもそも公民館行ってへんから。」
竹内さんは、斎藤知事は公民館に行っていないにもかかわらず、公民館に行って罵声を浴びせた、と言っていて、それをAERA dot.も記事にしているのです。竹内さんの発信は、大間違いであったことを、番組自らが証明しています。

もう一つは、立花氏がデマを拡散した、という部分です。
番組では、立花氏のXでのポストが登場します。ここには確かに、「竹内県議会議員は、デマを撒き散らして」などと書かれています。
しかし、これは、ある方のXのポストを引用ポストしたものです。その方が誰あろう、先ほど番組に登場した芳賀一也氏です。そこには、こう書かれています。
「知事として初めてゆかたまつりに来てくれた斎藤知事。それなのに、そこで暴言を吐いたとか、デマをまき散らしたのは、竹内県議会議員。こうしたデマで有権者をだます、悪徳議員やマスゴミに負ける訳にはいかない。」
芳賀一也氏のポストは現在では削除されています。
しかし、実際に知事と対応した当事者である芳賀一也氏のポストですから、立花氏は極めて正しい情報をXで得たということになります。
TBSは、この芳賀一也氏のポストは見ているはずです。なぜなら、この写真を、番組では放送しているからです。

以上2点、①「竹内さんの情報は間違っていた」、②「立花氏はデマを拡散していない」という点について、番組は事実と正反対の情報を、視聴者に対して発信したことになります。それも、そうと知りながら行っているのです。

番組では、先ほどの芳賀一也氏の言葉を、伝えていました。
「あの時にマスコミがちゃんと取材して何が正しくて何が間違ってるかをちゃんと報道してたら、SNSに振り回される必要なかった。」
ここで、芳賀一也氏は、「マスコミはちゃんと報道していない」と言うことを言いたいのだと思います。
しかし、番組は、この趣旨も正反対に伝えます。

最後にキャスターがこう言っているからです。
https://youtu.be/ow2HmGfeIko?si=zIAoPE9aaTQV5O8Y&t=1349

この兵庫県の問題では、SNSだけではなく、大手メディアも、真偽不明の情報を流布する側に加わった面もあります。正しい情報を伝えられなかったために、デマが拡散されることにつながってしまった、私たちはこの事態の深刻さを認識しなければならないと思います。
ただ一方で、メディアによるファクトチェックが誹謗中傷を抑えられた、という分析もあるわけです。誰でも発信できる今だからこそ、経験や蓄積のあるメディアの責任と言うのは、非常に大きいとも感じました。

冒頭申し上げましたが、全体を通して、立花孝志氏のデマがSNSで拡散したために、竹内さんが亡くなった、それを止められなかったメディアにも責任があるかのような論調になっています。暗に、メディアが正義の味方になっているのです。
しかし、番組自体が、今度は立花氏を攻撃し、追い詰めようとしていないでしょうか。私は、今回の番組は、竹内さんがお亡くなりになったことを利用して、立花攻撃をしているようにすら感じられました。やはり、偏向報道と言われても、しかたがないのではないでしょうか。

動画はこちら
https://youtu.be/dUT5mfCyU44