解散命令請求は行政処分か?

昨日、「解散命令請求の根拠を民法とする3要件「組織性」「継続性」「悪質性」はどこへ行ったのか」という動画を出したところ、いろいろなご意見を頂きました。
その中で、このようなコメントがありました。鋭いご指摘だと思います。

「解散命令請求」ははたして行政処分といえるのでしょうか?と言いますのは行政処分は行政庁が一方的に国民の具体的な権利義務を決定すると一般的には考えられているからです。「解散命令請求」自体はあくまで請求であり「決定」ではありません。「決定」を下すのは司法です。例えば食中毒を起こしたお店があって、保健所は営業停止等を命令することができますが該当官庁がその処分を「決定」しているのです。司法の判断を仰いではいません。

実はこの点は、私も疑問を持ち、かつて専門家にご質問したことがあります。
「信者の人権を守る二世の会」の第3回シンポジウム(2023年7月30日開催)で、杉原誠四郎氏、徳永信一弁護士、中山達樹弁護士、福田ますみさんが、登壇されました。
そこで私は、本件について質問をしてみました。

小笠原:そもそも、公権力の行使に当たるので、行政手続法で言うところの行政処分ではないのか、そうすると解散命令請求そのものに対して、行政訴訟法で訴訟することができるのではないでしょうか。

中山弁護士:行政処分については、先程ランチで話をして、徳永先生は満たすんじゃないかとおっしゃってました。

徳永弁護士:法律家としては、問題は行政処分と言えるかどうかという、この一点なんですよ。実際解散命令請求が出た時に、今は無罪の推定の逆をやってるんです。確定するまでは施設を使わせないなど、九州や関東にもそんなことがありますよね。法律家としてはちょっとひどいなと思ってるんですが、国が解散に値すると考えるから請求するわけですよね。すると地方自治体はそれにならって、国が違法な団体、反社会的な団体だと言うこと認定して進めてるんだから、俺たちもそれに従うという形になる。そこまで考えると、解散命令請求自体に行政処分性を認めるという理屈も現在の最高裁の考え方だったらあり得る。であれば、三要件全くないにもかかわらず解散命令請求をするのは、政治的な権力の濫用以外の何ものでもない、と言う理屈で裁判することも可能だと思います。
https://youtu.be/oFxmN3W_fz8?si=FPBhkxxtfAO1NrST&t=9591

徳永弁護士は処分性がある、従って行政処分であるというご見解ですが、中山達樹弁護士は、形式的には満たさないが、実質的には徳永弁護士の見解もあり得るのではないか、というご意見です。要するに、専門家の間でも意見が分かれているように思います。私は徳永弁護士のご意見を踏まえて、これは行政処方であり、行政事件訴訟法で訴訟することも可能なのではないかと思っています。

いずれにしろ、本件は家庭連合に対して有利とか不利とかいうことではなく、日本の宗教行政のあり方にも関わる問題だと思いますので、非常にいいご指摘、ご意見を頂いたと思います。ありがとうございます。

動画はこちら
https://youtu.be/RtQh7ETe_LE