宗教法人審議会議事録 非公開とする内規の変更は本当に審議会で審議したのか?

家庭連合に対する解散命令請求に係る宗教法人審議会の議事録が非公開ですが、非公開とする内規の変更プロセス自体も非公開であることは、昨日お話しました。これは重要な論点なので、少し深堀りしたいと思います。

まず、宗教法人審議会の議事録に関する最新の内規は、こちらになります。
この改定日が、「令和4年11月21日」となっていて、これが第1回目の質問権を行使した第181回の開催日と同じです。https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/shukyohojin/pdf/93962101_02.pdf
この内規のどこが改訂されたのかを知るためには、一つ前の版と比較すればよいです。
そこで、この前に改訂された日、即ち令和3年1月22日の議事録を見てみると、下記の通りです。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/shukyohojin/pdf/93565801_02.pdf

そこで、条文の新旧比較表を作成しました。

第1条では、いずれも「本審議会の議事録は、原則として公開することとする。」となっています。
しかし第2条では、「宗教法人法第78条の2の規定に係る審議については、原則として議事要旨を公開する」となっており、質問権に関する事項は、議事録ではなく、より簡易な議事要旨でよい、なっています。議事録は発言者名も含まれますが、議事要旨ではそれらは省略されるでしょう。
さらに第4条第4項但し書きで、「会長が必要と認めるときは、審議会に諮った上で、必要な期間、議事録等の一部又は全部を公開しないことができる。」とされているのです。ここが、最大の変更点です。

注目するべきは、第81条に関する件、すなわち解散命令請求については、議事要旨となっていません。それが審議されたのは、令和5年10月12日の第189回ですが、現在は非公開とされていても、いずれ議事録は公開されるでしょう。その際には、議事要旨ではなく、発言者も明記された議事録が公開されるでしょうから、きちんと確認したいと思います。

私は、解散命令請求に関する議事録が非公開であることについて情報公開請求を行った結果不開示決定を受けたので、審査請求をしたことは昨日お話しましたが、そこでの理由の一つに、「非公開と決定した会長の判断」自体は開示可能なはずだ、と記載しました。下記の通りです。
https://www.ogasawara-church.jp/wp-content/uploads/2024/01/268c4643931b4d33de3b479c7871d6bd.pdf

ところが、それに対する令和6年4月17日の文部科学省の理由説明書は、なんと「そもそも内規は非開示の理由ではない」という、それまでの回答とは異なるものでした。
「審査請求人は、本件対象文書が宗教法人審議会の申合せにより非公開と されている根拠及び理由が公開されていないから、本件対象文書を不開示 とする原処分に理由がない旨主張する。
しかし、処分庁が本件対象文書を不開示とする原処分をしたのは、本件 対象文書が法(行政機関の保有する情報の公開に関する法律=情報公開法)第5条第2号イ、同条第5号及び同条第6号柱書の不開示情 報に該当するからである。本件対象文書が宗教法人審議会の申合せにより 非公開とされている根拠及び理由が公開されていないことをもつて原処分 に理由がないとする審査請求人の主張は失当である。」(理由説明書P13)
https://www.ogasawara-church.jp/wp-content/uploads/2025/01/90450e3d3ed7612e92b746b4d9efb4f0.pdf

これはおかしいです。これまでも文部科学省は、非公開とする内規があるから開示できない、ということで議事録を公開できないと回答してきました。そして、昨日ご紹介した令和6年3月12日の浜田聡参議院議員の総務委員会での質問でも、文部科学省の小林審議官は、「内規があるから公開できない」「解散命令請求の裁判が終わったら公開する」と回答しているのです。この回答では、内規がどうあれ、公開はしない、と読めます。小林審議官の答弁を再度掲載します。
「宗教法人審議会の議事録につきましては、同審議会の議事等についての申合せにより、会長が必要と認めるときは、審議会に諮った上で、必要な期間、議事要旨の一部又は全部を公開しないことができることとされております。
 本件につきましては、仮に解散命令請求が行われた場合は裁判所の判断が確定するまでの期間、一連のプロセスにおいて旧統一教会から文部科学省等に対して訴えが提起された場合はその裁判が最終的に確定するまでの期間などに該当する場合はその間、議事要旨を公開しないことが全会一致で決定されております。」明らかに、文部科学省の理由書と異なります。
なぜここにきて、文部科学省は、「宗教法人審議会の議事録等に関する申合せに基づき非公開とする」という理由を、取り下げてしまったのでしょうか。

そこで私は、この理由書が到着してからずぐ、情報公開個人情報保護審査会へ意見書を提出しました。
ここにきて、公開できない理由を変えるのではなく、「内規の変更」及びその適用条件を、きちんと説明すべきだ、と主張しました。
https://www.ogasawara-church.jp/wp-content/uploads/2024/05/c1bc9ed6fd69b6e4e326eec19e3e4dfd.pdf
これに対して、9か月経った現在でも、行政からの回答はなく、今日に至っているというわけです。

しかしこうなってくると、一つの疑念が湧きあがります。
果たして、宗教法人審議会の議事録を非公開とする内規の変更は、きちんと審議されたのだろうか。もしかして、日付だけ辻褄を合わせて、変更された内規を掲載しているだけなのではないだろうか。そうでなければ、あれほど内規を理由として非公開としていたにもかかわらず、その理由を取り下げる意味がわかりません。
内規の変更は、今後他の宗教法人に対しても適用されるものであり、家庭連合に対する質問権行使という個別事案とは切り離して審議すべきです。
公正な審議が行われるよう、内規変更に係る議事録は公開されるべきであると、重ねて申し上げます。

動画はこちら
https://youtu.be/70uKpLiR3WY