少子高齢化問題 施策のポイントは幸せな家庭づくり

日本は、高齢者が増える一方で子供の数が減少するという、いわゆる少子高齢化問題に直面しています。これは日本に限ったことではなく、世界的な現象ではありますが、日本は特に高齢化が進んでいます。
全人口に占める65歳以上の人口の割合、即ち高齢化率で、日本は世界一です。
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_1_2.html
少子高齢化が進むと、日本の安定を支えてきた仕組み、即ち社会保障制度や健康保険制度が崩壊してしまうという危険があります。

この問題について、子ども家庭庁が非常によい資料を作っているのを見つけましたので、ご紹介したいと思います。
「結婚に関する現状と課題」というものです。
https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5a310876-d01c-4f68-befb-841026bec796/41b83710/20240906_councils_lifedesign-wg_04.pdf

まず、日本の出生数の分析です。
戦後は年間270万人位子どもが生まれていて、第一ベビーブームとか、団塊の世代とか言われています。
これが段々と少なくなってきて、2023年には727千人ということで、約4分の1に減少しているわけです。
また、一人の女性が一生の間に何人子どもを産むかという数、合計特殊出生数と言いますが、これも戦後まもなくは4.5人でしたが、現在では1.2人ということです。これが2を上回れば人口を維持できることになりますが、それ以下だと将来的に人口は減少することになります。

ではなぜこれが減少しているかと言えば、結婚する若者が減っているからです。
こちらは、結婚した女性が一生に何人子どもを産んでいるかという、完結出産児数(結婚持続期間が15~19年の初婚どうしの夫婦の平均出生子ども数)の推移です。戦後直後は4.27人と多いのですが、1972年で2.2となり、その後はほぼ2人位と安定しています。2021年で1.9人と、2を割り込んでいますが、それでも劇的に減っているというわけではありません。つまり、結婚したお母さんは、頑張って子どもを産んで育てているのです。

それでは婚姻数はどうかと言えば、これは劇的に減少しています。
1947年で934,170組の婚姻件数が、2023年では474,717組と、ほぼ半数になっています。人口1000人当たりの婚姻数になると、1947年の12.0組に対して、2023年は3.9と、ほぼ3分の1です。

つまり、日本の少子高齢化の一番の原因は、若者が結婚しなくなっている、ということなのです。

それでは、日本人に結婚願望がなくなっているかと言えば、そうでもありません。この20年で、低下していますが、それでも未婚者の約8割は男性・女性とも結婚したいと考えています。

では、なんで結婚しないのかと言えば、こちらのアンケートによれば、男性・女性とも、「適当な相手にめぐりあわない」というのが常に一番です。その次に大きいのが、「まだ必要性を感じない」ということです。結婚資金が足りないなどの経済的な理由は、3番目以下です。

それでは、「適当な相手に巡り合わない」とはどういうことなのかと聞けば、「そもそも身近に自分と同世代の未婚者が少ない」となっています。そしてそういう人たちは、「特に何も行動していない」というのです。そこで、政府は施策として、「地域少子化対策重点推進交付金」などを実施しています。出会いの機会を増やすための、マッチングアプリを作ったり、結婚支援事業に助成金を出すなどのものです。
しかし、こういう施策はあまり効果を期待できません。なぜなら、物理的に出会ったとしても、それが結婚に至るための動機が薄いと見られるからです。

私は、「結婚は素晴らしいものだ」「幸せな家庭を築きたい」と、若者が思えるようにすることが、最大の施策ではないかと思います。マッチングアプリを作るような対処療法的なものは、ほとんど意味がないと思います。それらは、補助的な施策に過ぎないからです。

では、どうしたら結婚は素晴らしものだと思えるかと言えば、夫婦はお互いを通して理想を実現するというビジョンを共有することだと思います。
自分の欲望を満たすために結婚をするならば、やがてお互いに要求しあうようになり、長続きしません。しかし理想の家庭を築こうという目的を共有できれば、お互いをいたわり、大切にすることができます。私は家庭連合の信者ですので、夫婦が神の理想を目指そうという信仰上の理念を共有していますが、別に宗教を通さなければ、家庭が築けないなどということではありません。ビジョンが共有できればよいと思います。

しかし、これは中々簡単なことではありません。出会ってからずっとラブラブだ、という仲のよいおしどり夫婦もおられると思いますが、ほとんどは何らかの葛藤があるはずです。私ももう結婚生活は30年以上やっているわけですが、やはりいろんな局面はあるわけです。そもそも生まれも育ちも違う赤の他人が一緒に一つの営みをするわけですから、それは意見が合わないし性格も合わないということは、あるわけです。
それでも、よい家庭を築こうという目的を共有して、それを励まし合う社会であれば、家庭は守られるのではないでしょうか。

一方で、夫婦の関係に危機をもたらすものが何かと言えば、それは不倫です。配偶者以外の異性と性的関係を持ったり、そこまでいかなくても恋愛感情を抱いてしまうということです。これには、歯止めをかける必要があると私は思います。

こう考えてくると、施策として考えられることは、若者に単に出会いの場を作るだけはなく、家庭の意義、子育ての喜びなどについて、啓蒙していくということではないでしょうか。かつては、地域のお年寄りが、若者たちにそのようなことを伝えていました。しかし現代では、そもそも地域の絆が弱くなっていて、逆にお年寄りが孤立するなどの問題が起きていいます。少子高齢化問題に対する施策、それは、幸せな家庭をつくるための、啓蒙や地域の絆づくりなど、実体的なものであるべきだと思います。

動画はこちら
https://youtu.be/A2KtccCN-Cg