選択的夫婦別姓制度は導入するべきではない

与党単独過半数割れをしている衆議院において、選択的夫婦別姓制度が審議されて法制化する可能性が議論されています。
https://www.asahi.com/articles/ASSD6366VSD6UTFK00BM.html?msockid=3851f247586e6a2220cfe04259846bef
もともと与党公明党は選択的夫婦別姓制度推進を公約に入れており、野党第1党の民主党はもともと推進派、日本維新の会も「維新版選択的夫婦別姓制度」を提案するなど、現在の民法で定められた、夫婦同姓制度はにわかに存続の危機に瀕しているように思います。

しかし私は、選択的夫婦別姓制度は導入するべきではないと思います。理由を以下にあげます。

まず1つ目は、選択的夫婦別姓制度の推進派は、女性が社会で活躍するために導入すべきだと主張しますが、法律的な姓とは別に旧姓を使用するのが現状であり、戸籍制度まで変える必要はない、ということです。
会社や社会で女性が活躍する場合、結婚しても従来の姓を使う方が認知度の問題もあり、よいというケースは少なくありません。たしかに、結婚して姓が変えるとなれば、ほとんどの結婚の場合、女性が男性の姓に変更することが通例なので、女性が不利という考え方もあります。
しかし、会社で結婚後の姓を名乗らずに旧姓を使用することは、既に一般的に行われていますので、実質上の不便さはないのが現状だと思います。住民票やマイナンバーカード、運転免許証も旧姓併記することが可能となっています。総務省の資料を下記します。
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/kyuuji.html

また2つ目に、国際的に夫婦同姓とする制度は日本だけだという議論に問題があります。
確かに、アジアでも中国・韓国は結婚後も姓は変わらないし、アメリカやヨーロッパの多くの国が、結婚後の姓を変更するかどうかは任意とされています。法務省の資料を下記します。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html#Q12
しかし、夫婦別姓とするかどうかは、純粋に内政的な問題であり、海外の制度に合わせなければならない、という必要性はありません。その国の文化や風習に適合した制度を制定するべきです。

3つめに、日本の強みは、家庭を大切にする伝統・文化であり、夫婦同姓はこの文化を制度的に担保するものであると考えます。
日本は、結婚すると女性はその家に迎え入れられる、という考え方があります。「家族」が基本にあり、結婚することで、お嫁さんを迎えて家族の一員になるわけです。わざわざ来てくれるのだから、お嫁さんは大切にしなければなりません。そういう文化が日本にはあるわけです。中国や韓国はそうではありません。結婚しても、女性はあくまで元々の家系の一員であって、血族という儒教的な考え方が非常に強いのです。海外は逆に、「家族」という縦軸が弱く、あくまで個人と個人の契約であるという考え方なので、結婚したからと言って個性の一つである姓まで変える必要はない、ということになります。

4つ目に、日本の戸籍制度は世界にもまれにみる、素晴らしいものだということがあります。私は行政書士で、時々相続案件にも対応しますが、戸籍を辿ればその人の親族関係がきちんと判明します。これも、もともと家という考え方がしっかりしていたから、明治政府がまず行った制度改革なのです。戸籍が十分に整備されていない国の標準に合わせることは必要なく、選択的夫婦別姓を導入して、戸籍がわかりにくくする必要はありません。

日本の強みは、「家族」です。家族がお互いに助け合うことで、子どもを教育し、親を大切にしてきました。戦後、個人主義が強調されすぎて、家族の絆がバラバラになりそうな社会になってきました。離婚が増え、DV問題を理由として親子関係に政府が介入するような社会です。もちろんDVを放置するべきではありませんが、家庭とはどうあるべきか、それをまず議論するべきと思います。

選択的夫婦別姓は、日本の伝統的な強みである「家庭」に対して、個人主義を持ち込むような施策です。父親と母親が、同じ姓で一つとなり、子どもを育み、後孫につなげていくという日本の伝統文化を守ることが、日本という国がここまで強くなってきた根幹にあります。拙速な選択的夫婦別姓の導入は、おこなうべきではありません。

動画はこちら
https://youtu.be/HgaGXKXQTr0