「セクト規制法」下でのフランスの家庭連合信者の手紙
先日、2001年にフランスが定めた「セクト規制法」について、セクト(=カルト)自体を定義するものではなく、1995年に国民議会が作成した10のセクト基準や173のセクトリストも2005年に否定され、法律としては意味をなさなくなってきている、ということをこの動画で説明しました。
しかし、実際にはフランス政府による信教の自由の侵害は行われており、「セクト規制法」の影響は存在しているようです。フランスに住む家庭連合の信者(フランス人と日本人の国際家庭)から、下記の手紙を頂きました。これを読むと、国家が個人の信仰に干渉する、恐ろしい状況がわかります。長文ですが、下記にご紹介します。
「1994年の夏、氏族メシアの実家であるブルターニュ地方の中心地レンヌの隣町に引っ越してきました。ここレンヌはフランスの最初の反統一教会運動団体であるADFI(Association for the Defense of Family Values and the Individual )が1974年に設立したとことです。日本でいう反対父母の会ですが、それが反カルト運動団体に発展していきます。 私の主人の姉妹が2人この反対父母の会に入っていました。特に長女である私の義理の姉はグループの活動家でした。引っ越してしばらくたったころ、近くに住むフランス人の姉妹がレンヌの市役所の前でADFIが何かやっているという事をきいて、二人で見に行きました。彼女の家族もこのグループに入っていましたので、家族が来ているか知りたかったのだと思います。市役所前の広場に大きなテントを張って活動をしており、そこには主人の義理のお姉さんの姿がありました。
1995年7月に国民議会調査委員会 が設置され、その年の末には報告書『フランスのセクト』 が国民議会に提出されました。この報告書もまたセクトの客観的・法律的な定義は不可能だとしながらも、セクト現象を識別するための10の基準を定めました。また、173の団体をセクト団体と認め、具体的な名前を挙げました。そのようなリストは2005年の政府の方針変更によりなくなりました。また、1996年には各省合同セクト監視機関が設置されました。
そういった、政府のセクトへの圧力がある中、女性連合の派遣員がフランスにも送られてきて、レンヌ市でも女性連合の集会が行われることとなりました。 私はパリでも女性連合の活動をしていたので、私の家の住所と電話番号が連絡先となり、チラシが作られ、レンヌの中心街で配布活動が行われました。ADFIが女性連合の活動を知り、会場になっていたホテルは圧力がかかってキャンセルとなり、急遽違う場所を借りて集会が行われました。ただ、私は3人目の子供が1歳にもなっておらず、住所と電話番号を刻んだゴム版を作ってチラシ作りに協力しただけで、当日の集会にも参加できませんでした。
それから1年ぐらいは経っていたかと思いますが、ある日レンヌ市内にある内務省のオフィスに来るようにという手紙を受け取りました。目的は外国人がフランスの生活をどのようにおくっているかという事でした。夫も近くに住むフランスの兄弟もそんなことで呼び出されるのはとちょっと不思議に思っていました。手紙に指定された日時に内務省の事務所に行きました。 一人の男性が私に、日本大使館には登録しているか、近所の人との関係は、その人たちの名前を聞かれました。私が何かのアソシエーションに所属しているかを聞かれましたが、私はその時私が女性連合の会員であることも忘れていました。なぜなら、レンヌで女性連合の集会は行きましたが、数人の姉妹がレンヌの近隣に住んでいても誰も活動をしていなかったからです。 私は「3人の子供が音楽や体操をやったりしていて、子育てに忙しくて、私自身がどこかのアソシエーションで活躍する時間はないです」と答えました。 男性はさすがにこの私の返事が気に入らなかったと見えて、私に「あなたが統一教会のメンバーだということは分かっているんですよ。」と言い出しました。それで私はここに呼び出された理由が理解できました。それならば、私も彼の質問に答える事はないと思いました。彼は、レンヌに居るメンバーについて探りを入れたかったようでした。 リーダーの兄弟の名前がでて、ちょうど少し前にリーダーが変わっていたので「その人はもうリーダーではないです。」というと、誰がリーダーかを言うように言われましたが、私は「これだけ色々調べておられるようなので、ご自分で調査してください。私はこの以上話すこともないので失礼したいです。」と答えました。その後私は帰宅を許されました。 ただ、その後しばらく我が家の電話は盗聴されていたようでした。なぜなら、親族の誰にも話していない教会の内容を、ADFI活動家の長女である義理の姉は知っている様子を私達に示したからです。
そんな中でも、フランスの女性連合は当時ニュースレターを作っていたので、それを通して購読会員獲得の為に訪問活動などをしたり、超教派の活動が好きな兄弟と時折プロテスタント教会の聖書勉強会に行ったりもしました。その兄弟は本当に頑張る兄弟でレンヌ市内のプロテスタント教会に全て渉外に行き、一つの黒人の牧師さんが関心を示して下さり、教会の中核になっている方々に原理講義をしてほしいと言われ、パリから講師の兄弟が来て1Dayの講義をしました。色々な原理の表現されている言葉に対する抵抗があり、本意が理解されず、結果として牧師が私達と関係を持つ事に反対ということになってしまいました。 とにかく、キャンペーンのように派手に行動しなければ問題はありません。 最近私は真のお母様の自叙伝のPRもかねて、駅前や公園で本を紹介するという形で人に声をかけ、少しではありますが活動しております。
ADFIはレンヌから始まってフランス国内に広がり、1982 年に UNADFI(全国家庭・個人防衛協会連合) が設立され、ADFIネットワーク全体が統合されました。2018年、UNADFI は 29 の ADFI と 11 の支部を持つようになり、それ以降UNADFIは青少年、大衆教育、学校教育、および社会生活を対象とした予防活動について青少年省によって承認されています。ということで、今はどうかわかりませんが、中学校の歴史か社会科一般の授業でセクトを教えており、統一教会・セクトムーンとして紹介されます。これも2世の子供たちにとっては試練です。授業の流れでサッと過ぎ去っていくのですが、子供の感じ方には個人差があります。2世は2世の修練会等での横の繋がりがあるので、互いに助け合っています。」
フランスの政府が、学校教育にも家庭連合はセクトいって反対教育をする、政府機関が家庭連合の組織の中のことまで聞いてい来るということで、本当に恐ろしいことだと思います。
私も20年ほど前、中国に5年間駐在したことがあります。統一教会は公認されていないため、教会は転々と移動し、外国人用の私の住居で礼拝が行われたことも何回かあります。信者が監禁されたり、政府により暴行を受けたこともありました。共産党独裁国家での宗教活動が如何に制限されているかを体験したものとして、このフランスの信者の手紙の怖さは実感としてわかります。日本がこんな国にならないよう、強く願うものです。