信仰切れず 鎖が切れた
1984年5月の14日の朝日新聞の夕刊で、脱会屋にそそのかされた親によって、都会から離れた山荘に閉じ込められ、なんと鎖で縛られた女子大生の記事が掲載されました。
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この記事は、以前Xで活躍されている仮想久美子さんが共有されていましたが、私はこの情報を朝日新聞に持ち込んで記事を書かせた当時の統一教会の広報担当の方から頂きました。コピーを頂いて、いろいろお話をお伺いすると、この広報担当の方ご自身も、以前精神病棟に強制的に入れられて、薬物を投与されたご経験を持つ、拉致監禁の被害者なのだそうです。本件についても、丁寧に朝日新聞とやりとりをして、とても公正な記事になっています。
冒頭の部分を、少し引用します。
「信仰から切り離そうと、親が娘をクサリで柱につないだ。その二十歳の娘は、だまして借りた爪切りでようやくクサリを切り、両足首に鎖をつけたまま、つながれていた山荘から逃げた。信仰で、親から離れた世界に入り込み、それまでと全く違った人間に変わったように見える娘を、クサリにつないでも元の状態に戻したい、という親の気持ちは分かる。だが、若い娘が二十日間も、数十センチ程度しか動けぬクサリにつながれ、トイレは便器、フロも入らなかったという話は、異様で、痛ましすぎる。同様なケースはほかにもあった。そう親たちに勧める「救済家」のいることも分かった。
しかし、いかに異質な宗教としても、信仰といった心の問題を、束縛や監禁で変えることが、出来るのか。家庭の不安定化、親子の乖離の深まり。混迷の心の時代を象徴する、重苦しい問題である。」(高木正幸編集委員)
私はこの方、仮にA子さんと呼びますが、原理研究会の時代に存じ上げています。今から丁度40年前で、私の一つ歳下だと思います。大学を卒業して私は一般企業に就職したのですが、A子さんも家庭が反対しているということで、やはり就職されました。そこで、所属教会が一緒になって、いろいろとお話を聞く機会がありました。
記事には名前が出てきていませんが、この「救済家」というのは、後藤富五郎氏で、既にお亡くなりになっています。以前ご紹介した、「日本版収容所列島」にも登場する人物で、今で言う脱会屋の宮村峻氏の先輩格のような人物ですね。
A子さんは、監禁に屈するような方ではなく、強い芯をお持ちの方でした。だからこそ、クサリにつながれても信念で脱出できたのでしょうが、通常はあきらめてしまうようなケースではないでしょうか。
後日談ですが、A子さんは1988年の6500組の国際合同結婚式に参加されました。家庭が反対していたために日本の教会からの推薦はなかったのですが、自ら韓国に行って、直接文鮮明先生から祝福マッチングを受けたということです。お相手の方は韓国の方で、文鮮明ご夫妻からは勇気ある日本の女性だということで、大変愛されたということを聞いたことがあります。このような方だから、拉致監禁のような迫害にも屈することがなかったのかもしれません。
話は戻りますが、大手メディアが、拉致監禁問題を記事にしたのはこの朝日新聞の記事くらいしかないのではないかと思います。その後も拉致監禁の被害は拡大し、ついには4300名を超える信者が被害にあっていますが、全く報道されないのはおかしなことです。
高木正幸編集委員は、この記事を次のような言葉で結んでいます。
「暗中模索の、心の時代といわれる。とくに若者が、いつ何にとらわれるか分からない、不安で、不確実な世の中なのだ。その対応に、いまの社会をつくった多くの親は惑乱するだけだろう。ただ、心の問題に立ち向かう「武器」は、辛抱強く、暖かい心ではあっても、クサリなどではないことだけは、間違いない。」
高木正幸編集委員のような、公正な態度で記事をかく記者が現れることを、心から願います。