自民党の家庭連合との関係断絶宣言は政教分離原則違反である

2年前の安倍元首相の暗殺事件以降、家庭連合は自民党とズブズブだなどとマスコミで囃し立てられ、それを嫌がった岸田前首相は、自民党総裁として、家庭連合との関係断絶宣言をしました。そして、宗教団体が政党に働きかけることが、政教分離原則に違反しているというような、誤った認識が広まってしまいました。

しかし、宗教者や宗教団体が、宗教的な理念を現実に実現するために、政治家や政治団体に働きかけることは、憲法16条で定められた請願権であり、全ての国民に保障されているものです。これを排除するということは、国家が特定の宗教団体を抑圧することになり、むしろ政教分離原則に反することなのです。

そもそも政教分離原則というのは何のためにあるかといえば、それは信教の自由を保障するためです。国家が特定の宗教団体を抑圧することは勿論、助長することも、他の宗教団体の抑圧につながることから、禁止されます。
日本国憲法第20条第1項には、こう書いてあります。
「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」
後段の部分が、政教分離にあたるものです。前段は、信教の自由の保障を定めたものです。つまり、政教分離原則は信教の自由の保障と一体なのです。信教の自由を保障するために、間接的に定めたものが政教分離原則であり、これを憲法学では「制度的保障」と言っています。

現実的には、完全に政教分離を実施することは困難です。例えば、地方自治体が、地域で長年続いてきた神社主催のお祭りを支援することは、政教分離に反するのではないか、というようなことです。
これについてはいくつか最高裁判所の判例があります。有名なものが、「津地鎮祭事件」というもので、三重県津市が市体育館の起工式を神式に則る地鎮祭として行ったことが政教分離に反するのではないか、として争われました。最高裁判所はこの時、国家の行為が政教分離違反であるか否かを判断する際の基準として、「目的効果基準」を示しました。目的と効果の2つに着目して政教分離に反するか反しないかを判断するもので、次の場合には、政教分離原則違反と認定されます。
①その行為の目的が宗教的意義を持ち、かつ、
②その行為の効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為
これについて、詳しく解説している資料があるので、下記にご紹介します。
https://www.foresight.jp/gyosei/column/church-state/?srsltid=AfmBOophtZPX13mkDWX0-wmDK05zvEqoNsI_PL4XT0rOarJEYYlbBpN3

さて、自民党の関係断絶宣言ですが、家庭連合及び関係団体との全ての関係を断つと言っており、それをガバナンスコードに記載しています。
それでは、例えば、所属する国会議員の秘書が家庭連合の信者だという理由で糾弾されたら、どうするのでしょうか。国会議員の答弁を聞くと、信者でないことを確認したと言っています。
しかしこれは宗教的意義を問題視していることとなり、「①その行為の目的が宗教的意義を持つ」ことに該当します。
そしてそれを排除することは、「②その行為の効果が宗教に対する圧迫、干渉等になる」ことに該当します。
つまりこれは、明確に政教分離原則違反になるのです。

これに対して、政党は私的団体であり、国家ではない、という反論もあるかもしれません。しかし自民党は政権与党であり、自民党のガバナンスコードを定めた責任者は日本の総理大臣です。そして政党は国家から政党助成金を受けるなど優遇され、日本の政策を決定する圧倒的な権限を持っているわけですから、国家と同視することができます。

以上の結論として、自民党の家庭連合に対する関係断絶宣言及びそれをガバナンスコードに定めることは、政教分離原則違反であると言わざるを得ません。実際問題として、この関係断絶宣言のために、家庭連合の信者である私は、かつては自民党員でしたが、現在は自民党員であることをやめています。国会議員に請願できないのですから、自民党員である意味がありません。それどころか、全ての政党が関係断絶の姿勢を明確にしてしまっています。
さらには、多くの地方自治体が、関係断絶決議をしたり、公共施設の利用を拒否するなど、家庭連合に対する抑圧的な行為を行うに至っています。
家庭連合が反社会的団体だからなどという人がいますが、例えば私が、どのような反社会的な行動をしたというのでしょうか。個別具体的な事案がないのに、家庭連合の信者であるというだけで排除するのは、まさに政教分離原則に対する違反です。

繰り返しとなりますが、自民党の家庭連合との関係断絶宣言及びそれを規定したガバナンスコードは、明確な政教分離原則の違反です。
早急に撤回して頂きたいと思います。

動画はこちら
https://youtu.be/0MeGlqgMsms