全国弁連の声明「かつての準禁治産制度類似の制度」 ~「準禁治産者」は戸籍の記載事項だった~
明治時代から続いていた旧民法の制度では、準禁治産者は戸籍に記載されていましたが、これは差別的だとして問題視されました。
だれでも、自分の財産処分権が制限されているなどと、調べられたくないはずです。そこで現在の改正民法では、「準禁治産者」に類似の制度である「被保佐人」が戸籍に記載されないようになりました。
なぜ、旧民法において戸籍に「禁治産者」や「準禁治産者」が記載されていたかと言えば、取り引きの安全性の観点でしょう。
契約することができる能力を、行為能力といいます。この行為能力を制限された人のことを、制限行為能力者と言います。例えば、未成年や被成年後見人、そして被保佐人です。制限行為能力者が結んだ契約は、本人の保護のため、本人や親権者、成年後見人などが取り消すことができます。しかし、契約をした相手方からすれば、本人以外の意思で取り消されてしまうなら、安心して取引できません。
これが未成年であれば、未成年かどうかは生年月日で容易に確認できますので、大きな問題にはなりません。しかし被成年後見人や被保佐人の場合は、その人が制限行為能力者であるかどうかを外見で判断することは困難です。そこで、禁治産者や準禁治産者については、戸籍に記載して、取引を行う前に確認できるようにしたのでしょう。
現在の戸籍制度では、制限行為能力者であることは、戸籍には記載されません。取引の安全よりも、本人の基本的人権をより重視したものと言えます。
戸籍も、かつては誰でも交付請求できましたが、最近では請求できるものは制限され、本人や相続人等以外は請求できないようになりました。私は行政書士という仕事の関係で、遺産分割協議書などを作る際は戸籍を役所に公布請求することが時々ありますが、相続関係者以外の戸籍は請求できません。そういう意味では、個人情報の保護はかつてより進んだと言えますが、やはり制限行為能力者が戸籍に記載されることは、よくないと思います。
それにもかかわらず、全国弁連が、わざわざ「かつての準禁治産制度類似の制度」という言葉を持ち出したのは、意図があってのことでしょう。それは何でしょうか。献金する家庭連合の信者を、「浪費者」として「準禁治産者」に指定し、それを戸籍に明記させるためと思われます。
しかし、気を付けなければなりません。これは、家庭連合の信者に限ったことではないのです。およそ、宗教を信じる者が高額献金をすれば、それは「準禁治産者」とされて、戸籍に記載されてしまう危険性があります。全国弁連の要請は、宗教界全体が注意するべき問題なのです。
動画はこちら
https://youtu.be/bffjb6S5r0s