全国弁連 差別的な旧民法「準禁治産者」制度の復活要請

全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、9月21日に、「旧統一教会の被害救済のため法整備求める」という声明を発表しました。
https://www.stopreikan.com/seimei_iken/2024.09.21_seimei.htm

その中で、かつて差別的だという理由で改正された、旧民法の準禁治産制度の復活を要請しています。下記が、その部分です。
「際限なく献金をさせられている信者と生活をともにする配偶者や子どもたち家族の被害を抜本的に救済できるように、家庭裁判所の監督の下で、信者本人に代わって献金を取消し、その財産を管理することのできる制度(かつての準禁治産制度類似の制度)を設けるよう求める。」

「準禁治産者」というのは、平成12年に民法が改正される前の制度で、このように定められていました。
「心神耗弱者、浪費者である人について、その本人、配偶者、4親等内の親族、戸主、後見人、保佐人又は検察官の請求により、裁判所が準禁治産の宣告をした人」
準禁治産者が行った取引は、家庭裁判所が認めた「保佐人」によって、取り消しが可能となります。

しかし、この制度の趣旨は、基本的人権よりも戸主制度の中で家族等の財産の保護を優先するものであったため、下記の点が問題とされました。
①準禁治産者の審判の要件として「浪費者」があげられていた。
②準禁治産者は、戸籍にその旨登録される

そこで、平成12年に、「浪費者」が要件からはずされ、「被保佐人制度」(民法第11条)が作られたのです。
民法第11条
精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判をすることができる

つまり、全国弁連のこの要請文は、基本的人権の尊重が不十分であるとして改正された民法を、わざわざ明治時代の制度に逆行させようとするものなのです。ではなぜこのようなことを主張するのでしょうか。それは、被害者とその家族の保護の名目のもと、信者の宗教的な行為である献金などを「浪費者」として断定し、それを制限するために他なりません。そしてこれを許すと、信者は、家族や検察官によって、「準禁治産者」として戸籍に登録されかねません。

信者の献金は、浪費などではありません。ましてや献金する信者を戸籍に「準禁治産者」として登録することができるようにすべきだ、という趣旨であれば、全国弁連の主張はとんでもないものです。全国弁連は、こんな前時代的で基本的人権を軽視する声明を、ただちに撤回するべきです。

動画はこちら
https://youtu.be/Qy_JiOjA-5Q