家庭連合は反社会的勢力ではない

自民党の岸田前総裁は、2年前に、自民党として家庭連合およびその関係団体に対して「社会的に問題が指摘される団体」として関係断絶宣言をしました。まるで、家庭連合が反社会的勢力であるかのような言い方ですが、家庭連合は反社会的勢力ではありません。

反社会的勢力とは、暴力団及びその関係団体のことです。1992年に暴力団対策法が制定され、暴力団については、都道府県が、刑法上の犯罪を犯した者の割合が一定の比率を越える団体を「指定暴力団」として指定し、経済活動や契約行為などを制限できるようになりました。

暴力団側は、それに対して暴力ではなく経済活動などで、一見すると暴力団とはわからないような形で勢力を維持しようとしました。そこで政府は、2007年に、「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」(犯罪対策閣僚会議幹事会申合せ)というガイドライン(以下、ガイドライン)を策定し、対策を強化しました。その中で、「反社会的勢力」については脚注で「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」と定義されたのです。

このガイドラインに法的拘束力はありませんが、企業が自らコンプライアンスに取り組んで反社会的勢力に対して厳しく対応するように求めています。その一つが、次の項目です。
「反社会的勢力とは、一切の関係をもたない。そのため、相手方が反社会的勢力であるかどうかについて、常に、通常必要と思われる注意を払うとともに、反社会的勢力とは知らずに何らかの関係を有してしまった場合には、相手方が反社会的勢力であると判明した時点や反社会的勢力であるとの疑いが生じた時点で、速やかに関係を解消する。」

岸田前総裁の家庭連合との関係断絶宣言は、このガイドラインをなぞったように見えます。しかし、このガイドラインにはこのようにも書いています。
「取引先の審査や株主の属性判断等を行うことにより、反社会的勢力による被害を防止するため、反社会的勢力の情報を集約したデータベースを構築する。同データベースは、暴力追放運動推進センターや他企業等の情報を活用して逐次更新する。」
つまり、「反社会的勢力」とは明確に定義されていて、それは暴力団追放運動推進センターに登録されているわけです。当然、家庭連合はこれに該当しません。

家庭連合は、指定暴力団ではありません。暴力団対策法の定義に当てはまらないからです。同様の理由で、「反社会的勢力」でもありません。ガイドラインの定義に当てはまらないからです。
岸田前総裁は、それがわかっているからか、家庭連合に対しては「反社会的勢力」という表現は使わず、「社会的に問題が指摘されている団体」などと表現しました。もし意図的に表現を変えたのであればかなり悪質であり、特定の団体を排除するために、あえて表現をあいまいにして、「反社会的団体」であるかのようなイメージを与えたということになります。これがまかり通るならば、狙った団体を反社会的勢力と名指しし、排除、関係断絶ができてしまうことになります。自民党がこんなことをしている限り、国民の声聞いて、国政に反映させることなど、期待することはできません。

動画はこちら
https://youtu.be/ZOwpYkAMOkQ