「世界平和統一家庭連合・旧統一教会は何を教えているのか」 統一原理の勝手な解釈による拉致監禁の正当化
パスカル・ズィーヴィー氏の著書で、「世界平和統一家庭連合・旧統一教会は何を教えているのか―統一原理による支配ー」という本を読んでみました。
パスカル・ズィーヴィー氏は、一貫して家庭連合に対する反対運動を行っている人物で、拉致監禁にも深く関与しています。クリスチャンで、1994年に「マインドコントロール研究所」を立ち上げ、現在所長をしているということです。
全国霊感商法対策弁護士連合会(全国弁連)の郷路征記氏が冒頭に推薦の言葉を書いていますが、「統一原理の教義が家庭連合の信者の心を拘束し、信者の行動を規制しているかがわかる」と書いています。もう一度書きますが、「教義が信者の心を拘束」「信者の行動を規制」です。私たち信者は、心が拘束されてもいないし、行動を規制されてもいません。それは、宗教者に対する単なる決めつけです。
要するにこの本は、信者でもない人が宗教の教義に土足で踏み込んで信者の思想信条や活動を批判するという、宗教ヘイト的な本であることがわかります。
さて、実際に本書を読んでみると、統一原理の経典である原理講論の専門用語が、たくさん登場します。「人間の5%責任分担」「蕩減条件」「氏族メシヤ」「万物復帰」「アベルカイン」などなどです。
どんな宗教でもそうですが、経典だけ読んだって、内容を理解することはできません。実際にその宗教に触れて、霊的な体験をしなければ、理解なんかできないのです。言葉だけ取り出したところで、の宗教の本質はわかりません。なぜかといえば、宗教は哲学とは異なり、知的な理解だけでは信仰に至ることはできないからです。人間は霊的な存在なので、霊的な体験がないと、信仰をすることはできないのです。知性のみならず、霊性での理解が不可欠なのです。だからこの本のように、経典の言葉だけを取り上げたって、全く統一原理の内容はわからないし、それをもって「信者の心を拘束」「信者の行動を規制」ということは、ナンセンスなのです。
これは、私自身の体験にもよります。若い頃、最初に統一原理の講義を受けた時、全くその内容がわかりませんでした。書いてあることはわかりますが、何を言いたいのかがわからないのです。堕落論では、人間始祖の性的過ちが罪の原因になったと書いていますが、そもそも人間始祖というのは、クロマニヨン人なのか、それとも北京原人まで遡るのか?などといった具合です。
しかし、神を中心とした理想世界という理念には共感しましたから、何事もやってみなければわからない、ということで信仰生活を始めてみました。祈祷や礼拝、為に生きる生活などなどです。そうして初めて、親である神の心情というものが断片的にですが情的に理解できるようになり、信仰が確立していった、というわけです。
統一原理の専門用語だけ抜き出して、あたかもこれが統一原理のキモだ、などというのは、宗教に対する偏見です。自分の考えの延長でしか宗教を見ないので、信者の考え方や行動も偏見でしか見ることができないわけです。
この本は、そういう観点から、統一原理に対して誤った理解をさせるものです。
そしてより問題なのは、パスカル・ズィービー氏は拉致監禁に深く関与した人物であり、この本が多くの拉致監禁の正当化のために使われているということです。
拉致監禁を、決して許してはなりません。