自民党のガバナンスコード 関係断絶宣言の問題点
自民党は2020年10月25日に、党のガバナンスコードを変更し、家庭連合との関係を断絶することを規定化しました。
正確に言うと、ガバナンスコードそのものには家庭連合の名前は記載していませんが、ガバナンスの変更通知に、家庭連合を名指した上で、一切関わりを持たないこととしているわけです。
これは非常に問題がある規定ですので、以下に説明したいと思います。
ガバナンスコードというのは、コンプライアンス上遵守しなければならない内規です。これに違反すると、コンプライアンス違反になるという基準になるものです。従って、非常に重要な内容であると言えます。その上で、ガバナンスコードに追加された条項は、下記の通りです。
「党所属の国会議員は、活動の社会的相当性が懸念される組織・団体からの不当な政治的影響力を受けること、またはその活動を助長すると誤解されるような行動について、厳にこれを慎むものとする。党本部はこれら組織団体に関する党所属の国会議員からの照会に対応する体制を整備する。」
https://storage2.jimin.jp/pdf/news/information/204463_1.pdf
これだけ読むと、家庭連合に特定した条項とはなっていませんが、この条項を追加した趣旨をホームページに記載してあり、そこに旧統一教会、即ち家庭連合という宗教団体を特定しているのです。
「今般の改訂は「旧統一教会および関連団体と一切関係を持たず、社会的に問題が指摘されている団体とも関係を持たない方針について、所属国会議員に遵守を求める」とするわが党の基本方針を、ガバナンスコードに反映させたものです。」
https://www.jimin.jp/news/information/204463.html
この書き方をよく読めば、「旧統一教会および関連団体と一切関係を持たず」、「社会的に問題が指摘されている団体とも関係を持たない」となっていて、「家庭連合」と「社会的に問題が指摘されている団体」を併記していることから、家庭連合が社会的に問題が指摘されているか否かを問わず、と読むことができます。これは、おかしな書き方ですね。「家庭連合とは無条件に関係を持たない」、と言っているのです。
そして、「関係」の内容ですが、「一切関係を持たず」という書き方だと、信者個人との関係はどうなるのか、という問題が出てきます。
ガバナンスコードには、「不当な政治的影響力を受けること」と書いてありますから、政治的影響力をうけなければ問題ないことになりますが、それに続く「その活動を助長すると誤解されるような行動」というのは、信者個人との関係についても含まれるようにも読めます。
家庭連合の信仰を持っている人間との接触まで遮断するということになれば、これは大きな問題です。なぜならば、それはその信者に対する全人格の否定につながるからです。
例えば私は家庭連合の信者ですが、それは小笠原裕という個人の属性の一部でしかありません。
私は仕事の上で個人事業主として、様々なお客様に対して仕事をさせて頂いています。また地元の自治会やボランティア活動にも参加しています。趣味として柔道をしているので、稽古仲間がいるし、学校の同窓会もあります。つまり、家庭連合の信者というのは小笠原裕という個人の一部でしかなく、他の属性がいろいろとあるのです。
人間の一部の属性のみを捉えて、相手を否定することを、差別と言います。
アメリカでは、例えば黒人への差別が歴史的に多くの問題になってきました。肌の色が黒いというだけで、その属性と関係ない、その人の職業や学校、住む場所まで不公平な扱いを受けていたことが、差別として社会問題化したわけです。
自民党のガバナンスコードは、その趣旨からして、家庭連合の信者に対する差別であり、宗教ヘイトであると言えるのです。
そもそも、国会議員の仕事は、国民から付託を受けて、広く国民の意見を受け止め、国政に反映させることだと言えます。代議士という名称がそれを示しているし、政党交付金や歳費、秘書の給料まで国民の税金で賄われているのはそのためです。
家庭連合の信者も税金を払っています。よくは計算していませんが、私がこれまで国や地方自治体に払ってきた税金は、私が家庭連合に捧げた献金よりも、はるかに多いはずです。国政に請願する権利は、憲法第16条にも規定されています。
自民党は、このような差別的なガバナンスコードを、早急に撤回するべきだと思います。