宗教法人審議会の議事録が非公開なのは問題である

家庭連合の解散命令請求、それに先立つ質問権の行使及び過料通知、さらには解散命令請求後の指定宗教法人の指定については、宗教法人審議会において全会一致で了承されています。そしてその議事録は、公開が原則であるにも係わらず、全て非公開となっています。
この議事録は行政文書なので、私は昨年9月と11月に、文化庁に対して開示請求を行ないました。

これに対して、文化庁からは、今年1月に、「行政文書不開示決定通知書」が送られてきました。そこには、開示しない理由として、こんなことが書かれています。
①議事録については、同審議会の申し合わせにより非公開とされている。
②質問権の個別具体的な内容については宗教法人の自律を阻害し活動を妨げるおそれがある。
③宗教法人審議会の率直な意見の交換または意思決定の中立性が損なわれる
④報告徴収・質問権の行使についての着眼点等を推知させる情報が含まれ今後の事務に支障をきたす

しかし、これは全て非開示の理由にはならないのです。以下に理由を述べます。

①まず、宗教法人審議会の議事録は、原則公開することとなっています。このことは、「宗教法人審議会の議事等について(申合せ)」という内規があり、その第一条に明記されてます。ところが、宗教法人審議会は、第1回の質問権を行使する際に、会長の一存で議事録を非公開とできるように、同時にこの内規を変更してしまいました。先ほどの内規の第4条第4項に、「会長が必要と認めるときは審議会に図った上で必要な期間議事録等の一部または全部を公開しないことができる」という条文を追加したのです。

問題なのは、この内規自体は公開されているのですが、国民が知らないうちに変更されており、それに係わる議事録もやはり非公開とされている点です。勝手に自分たちでルールを変えておいて、それを根拠として議事録は公開できないというのは全く理由になりません。
以下に、変更前と後の内規を掲載します。
https://www.ogasawara-church.jp/wp-content/uploads/2024/08/6a62ea440721e5b52806986b0f73d279.pdf

②文化庁は、さすがにこれでは足らないと思ったのか議事録を公開できない理由の根拠を、「行政文書開示法」に求めます。それが、「質問権の内容は宗教法人の個別事案である」とか「審議会の率直な意見の交換ができなくなる」とか、「他質問権に行使についての着眼点などを推知させる」などの理由です。
しかし、これらは全て、文化庁の都合です。そもそも公正な審議が行われているかどうかを、国民の目でチェックするために、議事録公開が原則となっているのですから、これは全く理由になりません。
昨日のブログでも書いたように宗教法人審議会の委員の中には過激な左翼思想を持った団体から選出された方がおられます。共産主義に反対する家庭連合の解散命令請求に対して果たして公正な審議が行われたのか確認するためには、議事録の公開は必須であると言えます文化庁の都合だけで非開示とすることは認められません。

③また、解散命令請求は行政庁たる文化庁が行うものですから、行政処分に相当します。行政処分に際しては、予め処分基準を定めておく必要があります。従い、質問権や解散命令請求を行う着眼点が含まれているから議事録を公開できないというのはおかしいことで、むしろ積極的に開示して、宗教法人が安心して宗教活動を行うことができるようにするべきです。

このように、文化庁の非開示決定の理由は、全く不適切なものなのです。
そこで、私は、審査請求を行うことにしました。これは、行政庁の処分に対して不服がある場合には、行政不服審査法に定められた方法によって、処分庁に対して不服申し立てをすることができる、というものです。そこで私は、審査請求書を作成し、今年1月に、文化庁に送付しました。

この点について、浜田聡参議院議員が、3月の参議院総務委員会において、なぜ議事録が非公開となっているのか、質問して下さいました。それに対する文部科学省の回答は、「内規によって開示しないこととした」「解散命令請求を行い裁判所で審理中なので、回答を控えたい」という内容でした。文化庁の回答に対して、進展はありませんが、ただ非開示の期限は、裁判所による決定が確定したら、開示するという点はコミットされました。この結果は注視していきたいと思います。

審査請求を行った結果、4月に、今度は「情報公開・個人情報保護審査会」より、理由説明書及び意見書又は資料の提出について、という文書が送られてきました。これは文化庁が審査請求を却下する際の手続きで総務省が管轄する情報公開個人情報保護審査会で、本当に不開示決定としてよいのか、ということを審議するためのものです。その通知書には、文化庁が作成した、不開示の審査請求を却下する理由書が添付されていますが、なんと30ページ以上にわたっています。

ここでひとつ特徴的なことは、先ほど述べた、宗教法人審議会の議事録を非公開とすることを可能とする内規変更については、ほとんど触れられていないということです。内規を変更したとも書いていないし、その変更自体の議事録を非開示とする理由も書いていません。これは想像ですが、そもそも内規変更については、審議されていないのではないでしょうか。だから議事録もないし、開示しようがないのではないかと思います。

これに対しては意見書を送付することができるので、これも作成して4月に送付しました。内容は、議事録不開示とした審議会議事録については、浜田聡議員の質問に対する文部科学省の回答と齟齬があり、やはり議事録を開示するべきという点、行政文書開示法の条文のみで非開示とすることは不適切である、という点です。

意見書を提出して、4か月が経過しますが、まだ審査請求の最終決定は受け取っていません。このまま時間切れを狙っているのでしょうか。宗教法人審議会の議事録の開示問題は、まだ解決していません。

下記に、一連の開示請求の関連記事を掲載します。
開示請求開示決定(質問権、過料通知 実質不開示)
https://www.ogasawara-church.jp/blog/20231117/2506/

開示請求不開示決定(解散命令請求)
https://www.ogasawara-church.jp/blog/20231221/2688/

審査請求(質問権、過料通知)
https://www.ogasawara-church.jp/blog/20240109/2777/

審査請求(解散命令請求)
https://www.ogasawara-church.jp/blog/20240110/2785/

情報公開・個人情報保護審査会の理由説明書
https://www.ogasawara-church.jp/blog/20240422/3369/

情報公開・個人情報保護審査会への意見書
https://www.ogasawara-church.jp/blog/20240501/3430/

動画はこちら
https://youtu.be/P5740kCVjy8