聖書の同盟 ~アメリカはなぜユダヤ国家を支援するのか~

元共同通信の論説委員の船津靖氏の著書で、イスラエルとアメリカの関係という視点から、現在に至る中東情勢を解説した本です。

昨年10月にテロ組織ハマスがイスラエルに対して無差別テロを行い、1200人を殺害し、250人の人質をガザに拉致しました。これに対してイスラエルがガザ地区のハマスを攻撃、パレスチナ人の民間人が数万人の単位で大きな被害を受けているという状況にあります。
アメリカは一貫してイスラエルを支援していますが、そこには聖書的な同盟関係があるというのが、本書のテーマです。

ユダヤ人は、1948年のイスラエル建国にあたり、旧約聖書に書かれたアブラハムの約束の地を取り戻すことを目的にしました。アメリカ人はそこに、かつて神の理想の土地を求めてアメリカ大陸に渡った先祖と、共通の価値観を持っていると言います。
それは、旧約聖書において、ユダヤ民族を率いてエジプトを脱出したモーセと、その志を引き継いでイスラエルの地を取り戻したヨシュアの姿を重ね合わせているということです。

キリスト教においては、ユダヤ人を、キリストを十字架につけた人々として迫害する、反ユダヤ主義が横行しました。その最たるものが、ユダヤ人を600万人も虐殺したナチスです。アメリカでも反ユダヤ主義は存在しますが、それに反対しているのがキリスト教福音派です。このキリスト教福音派は、政治的にも力を持ち、トランプ前大統領の支持層となっています。

日本のマスコミは、テロ組織ハマスに同情的で、イスラエルを一方的に非難していますが、この問題はアメリカ、ヨーロッパ、中東の歴史的な背景を抜きにして理解することは非常に難しいように思います。