家庭連合の解散命令請求に係わる質問権についての過料決定への抗告理由書

家庭連合の解散命令請求に係わる質問系について、3月26日に過料決定が行われました。この決定に対して、家庭連合は4月9日に即時抗告を行いましたが、その抗告理由書が公開されました。
https://ffwpu.jp/news/5182.html

抗告理由書は、31ページにも及ぶもので、法理論的な内容であり難解です。
抗告理由書には、地方裁判所の決定書(以下、原決定)が引用されており、その内容が分かります。

一つのポイントは、宗教法人法第81条第1項の「法令に違反」について、裁判所はこれまで、「法令に民法は含まれない」としていましたが、原決定において、「民法も含む」と言い出した点です。行政の主張を認めたわけです。(P1)
この点について、抗告理由書では,「民法709条違反という概念は存在しない」と言って反論しています。

しかし、もっと大きなポイントは、民法の不法行為と刑法は異なる者であり、民法の不法行為には罪刑法定主義と適正手続保証(憲法第31条)が適用されない、ということです。
抗告理由書は、「私法上の禁止規範・命令規範」は、私人間の権利を調整するためのもので、公法上の不利益処分の根拠とされるべきものではない、と言っています。(P6)

民法は「禁止規範・命令規範」であったとしても、私人間ではなく国家が私人の権利を制限するためには、その禁止規範・命令規範は、罪刑法定主義・適正手続保証が守られるべきであって、民法にはその規程はない、というわけです。
特に、「信教の自由と人権」を守るためには、この罪刑法定主義と適正手続保証は、最も重要ではないでしょうか。家庭連合の解散命令請求として文部科学省が提示した根拠は、全てこれに反するものです。

罪刑法定主義では、刑罰は法定されなければならず、遡及させてもいけません。しかし家庭連合の解散命令請求においては、基準が明確ではなく、組織性・継続性・悪質性も文部科学省が後付けで決めたもので、それを50年以上の事例にまで当てはめています。
また適正手続保証が必要ですが、全ての決定プロセスが非公開であり、ブラックボックス化されています。

私は、抗告理由書は妥当なものだと思います。断固として、国家による信教の自由の侵害に対して、戦うべきだと思います。