マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階説とは、マネジメントのセミナーなどでよく紹介される学説です。

人間の欲求を、「生理的欲求」・「安全の欲求」・「社会的欲求」・「承認欲求」・「自己実現の欲求」の5段階に分けて、人間は最下層の「生理的欲求」から満たされたいと要求しますが、最終的には「自己実現欲」が満たされないと、本当に満足することはできない、というものです。

生理的欲求は何かといえば、簡単に言えば衣食住であり、物質的な欲求です。食べるものがなければ餓えてしまいますから、これは最低限の欲求です。しかし人間は、それだけでは満足できません。安全な生活環境を求めますし、社会に帰属しているという満足感、そこで評価されているという満足感を求め、最後には「なりたい自分になる」という欲求を満たそうとします。これが自己実現欲です。

仕事に対するモチベーションを上げるには、この自己実現欲を満たすことができるように、目標を設定することが大切です。組織の業績を上げるためには、それぞれのメンバーの自己実現欲がどこにあるかを見極めて、適切に目標を設定することが必要で、それがリーダーの仕事ということになります。

このような発想は、共産主義的な価値観からは生まれてきません。共産主義は物質的な平等を重視しますが、人間は物欲だけで生きているのではなく、精神的な満足度を求めるからです。

私は宗教の信仰を持っていますが、現実にはビジネスの世界で生きてきました。その中で感じることは、ビジネスの世界で成功するためには、結局人間の精神世界にまで踏み込まざるを得ない、ということです。

宗教的な理念と実業とは、実は深い関係性があると思う次第です。