不可逆的なダメージ(1)

アビゲイル・シュライアー氏の著書「不可逆的なダメージ 私たちの娘を襲うトランスジェンダーの熱狂」(原題 Irreversible Damage :  Transgender Craze seducing our Daughters)の原本をAmazonで購入しました。既に報道されているように、KADOKAWAが日本語訳の出版中止に追い込まれたため、仕方なくGooGle翻訳片手に読んでいます。(結構時間がかかり、正しく理解したかは自信ありませんが…)
日本ではあまり認識されていない問題ですが、近い将来問題化するかもしれない重要なことが指摘されていますので、私なりの感想を、何回かに分けて書こうかと思います。

シュライアー氏が指摘するのは、性的違和感を持つ少女が、この10年間で大幅に増えたということです。かつて0.002~0.003%だったものが、現在では2%の女子高校生が性的違和感を感じていると言います。そして、性的違和感を持つ10代の若者の男性と女性の比率は、70%が女性です。さらに、これらの少女は、幼児期には性的違和感の兆候が全くありませんでした。つまり、少女が思春期を迎えて、中学校、高校に進学してから、これらの現象が顕在化しているというのです。
それはまるで、少女の間で感染しているかのように見えます。実際に、ある集団では性的違和感を持つ少女が数十パーセントにもなり、クラスター化しています。つまり、このトランスジェンダー熱は、まるでウイルスのように感染しているというのです。

その原因については、検証が必要ですが、シュライアー氏はいくつかポイントを上げています。
一つは、思春期の少女たちが、少女のコミュニティの中で孤立すると、女性であることに疑いを持つことがあると言います。それがトランスジェンダーのコミュニティであると、自分もトランスジェンダーになりたいと憧れるようになります。

また、SNSの爆発的な普及も大きな変化です。Youtubeには、トランスジェンダーに関する情報があふれていて、インフルエンサーたちに憧れるようになります。

そして、性的違和感カウンセラーが、積極的にトランスジェンダーであることを自認することを勧め、性別移行治療(男性ホルモン投与や性別移行手術)を勧める傾向があることも指摘しています。

シュライアー氏は、実に様々な人から取材しています。性別違和感を訴える子どもたち、その親たち、学者、インフルエンサーなどです。
研究者としては、リットマン博士に取材しました。リットマン博士は、少女たちの行動について調査をしたところ、冒頭に述べたように、この10年間で性的違和感を訴える少女が劇的に増加し、それはカナダ、スウェーデン、フィンランドそしてイギリスにおいても同様のことが報告されていることを指摘しています。
このような発表したところ、LGBTQの活動家たちは、リットマン博士を激しく攻撃し、差別主義者だというレッテルを貼られ、リットマン博士は職場から退職を余儀なくされました。
著者はリットマン博士と面談しましたが、決して偏った思想の持ち主ではなく、事実を客観的に指摘する、良心的な研究者であると感じたと言います。

リットマン博士は、少女の親たちにもヒアリングしましたが、幼少期には全く性的違和感を訴える兆候はなかったが、高校に行ってから、性的違和感を訴えるケースが多いそうです。
アメリカでは、性的違和感を感じる少女たちのために、トランスジェンダーセラピストがいます。しかし彼らは、これらの治療のリスクを指摘するよりも、積極的な性別移行治療を勧めるのだそうです。それは、男性ホルモンを投与するホルモン治療や、乳房を切除する性転換手術などです。ホルモンバランスを崩して子宮がんなどにかかりやすく、ましてや乳房を切除してしまえば、後に戻ることはできません。まさに、「不可逆的な損傷」と言うべき現象が起きているというのです。

Youtubeでは、トランスジェンダー・インフルエンサーが活躍しています。少女たちは、インフルエンサーの言動に影響を受け、両親の知らないところで、自分はトランスジェンダーであると思い込みます。欧米では、まるでファッションであるかのようにトランスジェンダーになりたいと希望する少女たちが増えているというのです。

欧米ではLGBTが進んでいると言われますが、それは差別主義という言葉とセットになっています。しかし、左翼的な解放運動に、この性別違和感の問題をリンクさせるのは、とても危険だと思います。子供たちにとって、リスクの高い性別移行治療は、きちんとした評価のもとに行うべきだと思います。「流行」のような形で広がると、後で大きな問題となるように思われます。