解散命令請求の要件「組織性・悪質性・継続性」はどこに行ったのか

2022年10月19日に、岸田首相は、それまで解散命令の要件として「代表による刑事事件」があることと解されて、政府もそのように確認してきたものを、「行為の組織性や悪質性、継続性などが明らかとなり、宗教法人法の要件に該当すると認められる場合には、民法の不法行為も入りうる」と解釈変更をしました。
https://www.asahi.com/sp/articles/ASQBM3GFRQBMUTFK002.html

それ以降、家庭連合に「組織性・悪質性・継続性」はあるかという観点で、文部科学省は7回にも及ぶ質問権を家庭連合に対して行いました。その結果、2023年10月13日に、文部科学省は家庭連合に対する解散命令請求を申し立てました。

従い、解散命令請求を行うためには、民法の不法行為にあたる「組織性・悪質性・継続性」について、予め基準を定め、家庭連合の行為がその基準に該当することが、明確に示される必要があります。

ところが、2023年10月13日に、盛山文部科学大臣の会見の際に貴社に配布された資料には、組織性・悪質性・継続性について、全く触れていません。指摘されているのは、被害者にヒアリングしたとか、訴訟が多いという話であって、そのどの部分が、「行為の組織性や悪質性、継続性などが明らか」なのか、何も書いていないのです。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/shukyohojin/pdf/93975301_01.pdf

解散命令請求は、行政が行う処分です。解散命令は、裁判所が裁判して決定されるため、処分性があるかどうかが問題でした。しかし、昨年末に制定された「特定不法行為被害者特例法」により、裁判所の裁判を待たずに財産把握・管理されるという不利益が発生することとなりました。従い、解散命令請求には、明確に処分性があります。行政処分である限り、行政手続法に定める通り、処分基準を定める必要があります。

行政手続法第十二条
「行政庁は、処分基準を定め、かつ、これを公にしておくよう努めなければならない。」

従って、文部科学省は、自ら掲げた(あるいは岸田首相の一存で掲げた?)処分基準「組織性・悪質性・継続性」を示す義務があります。会見資料にそれが記載されていないとなると、手続き上の瑕疵が疑われ、行政訴訟法に基づく訴えが可能なのではないでしょうか。ここから先は、法律の専門家の見解を待ちたいところです。

解散命令請求が、政治などの目的により強引に進められたとしたら、民主主義国家として非常に大きな問題であると言えます。