Winny
「Winny」 という映画を観ました。
Winnyとは、Peer to Peer (P2P)という技術を使ったファイル交換ソフトで、金子勇氏(故人)が2002年に発表したフリーソフトです。
このソフトウェアを使って違法に動画などの著作物が交換され、著作権侵害事件が多発しました。その結果、ソフトウェアの開発者である金子氏が著作権法違反幇助の罪で起訴され2006年12月に一審で有罪となりましたが、2011年12月に最高裁で無罪となった事件です。
著作権を侵害した本人ではなく、ソフトウェア開発者を有罪で処罰することができるのかを問われる事件でした。
映画では、ナイフで人を殺すのは犯罪だが、ナイフを作った人は犯罪に問われることはない、という問題提起がされています。これがこの映画を貫くテーマです。しかし、もしその道具が銃だったらどうでしよう。間違いなく犯罪です。道具を作るだけなら犯罪ではないという議論は、正しいとは思えません。では、どう考えるべきなのでしょうか。
P2Pの技術は、現在様々なシーンで活用されています。ビットコインに代表される暗号資産は、不特定のコンピューターが連携することで真正性を証明するブロックチェーンという技術を使っていて、その基礎的技術にP2Pが採用されています。多くの人が使っているLINEもP2Pによるメッセージ交換だそうです。今後も、P2Pは、様々なシーンで活用されるでしょう。
映画では、金子氏はP2P技術の将来性を感じて、匿名性と安全性を確保するための仕組みを求めて、Winnyを開発したと言っています。金子氏は、無罪判決がでた1年半後の2013年に、急逝されました。今のP2P技術が活用されている状況を見たら、どう思うでしょうか。
2007年1月に、金子氏が一審の有罪判決が出て即日控訴した後に、心境を語っています。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00059/031300373/
私は、技術の発展を抑えることはできないと思うし、技術それ自体に罪を負わせることはできないと思います。むしろ、技術の発展に倫理性が追いついていない点が問題なのです。