精神現象学(下)
ドイツの哲学者、ヘーゲルの代表的な著作です。上巻に続いて読んでみましたが、やはり難しかったです。
下巻は、精神、宗教、そして絶対知という章立てです。宗教の章では、キリスト教の聖マリアの処女懐胎やイエスの復活にも触れていて、神を現存在であり、絶対精神だといいます。
最終章は絶対知で結んでいます。翻訳者により、デカルト、ルソー、カントなどの考え方に触れながら、ヘーゲルは哲学体系を集大成したと説明されています。残念ながら、どう集大成されたのか、私の理解力では咀嚼できませんでした。
ヘーゲルはこの本で弁証法の解説をしているのか思ったら、弁証法を使って彼の思想体系をまとめたということのようです。
ヘーゲルの理論からは、その後ヘーゲル左派が生まれ、そこからマルクスが唯物弁証法を作り上げたと言われています。しかし、ヘーゲル自身の思想は、あくまで人間の認識や悟性を、精神、宗教を経て絶対知まで昇華させた、ということのようです。つまりヘーゲルの予期しない形でマルクスが共産主義理論を構築したわけです。
難解な本でしたが、その点だけは理解できました。